クラウドコンピューティングとオープンソースソフトウェアは、クラウドの黎明期から密接な関係にある。Amazon.comやSugarCRM、Rackspaceなど、数多くのベンダーが、仮想化からデータストア、ユーザーインターフェースまで、あらゆることに関してオープンソースの選択肢を活用してきた。
現在クラウドが成立しているのは、オープンソースソフトウェアの経済性と柔軟性によるところが大きいと言ってもいいだろう。しかし、オープンソースソフトウェアはクラウドコミュニティーで広く採用されているにもかかわらず、オープンソースソフトウェアの将来はクラウド運用モデル自体によって大きく左右されることになる。
LAMPスタックの将来に関する最近の興味深い議論について考えてみよう。LAMPは、Linux、Apache Web Server(またはTomcat)、MySQL(またはほかのオープンソースデータベースエンジン)、そしてPerl、Python、PHPといったスクリプティング言語で構成されるスタックであり、ウェブアプリケーションの世界では極めて重要な役割を果たしている。しかし、筆者が先ごろ指摘したように、LAMPはクラウドではそれほど重要でない可能性がある。
オープンソースがクラウドコンピューティングから大きな影響を受けるとき、その中心的な要因となるのは、IT運用の分野における役割の変化だ。クラウドによって、運用チームの注力すべき対象がサーバからアプリケーションへ移るということを、筆者は従来より指摘している。これは、アプリケーションが依存するインフラストラクチャコンポーネントと、アプリケーション自体の運用を、別々のチームが担当するようになったことを意味している。
ITインフラストラクチャの定義は、この15年間ほどで大きく変わった。今やITインフラストラクチャという用語は、ハードウェアだけでなくソフトウェアも含むことが多くなっている。クライアント/サーバ型の世界では、OSは長い間インフラストラクチャと見なされてきた。J2EEアプリケーションサーバやリレーショナルデータベース管理システムなど、ミドルウェアやデータベースも、主に共通インフラストラクチャとして扱われている。
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