2010年度にPCの買い替え意向があるユーザー企業は約80%--IDC Japan

富永恭子(ロビンソン)

2010-07-22 17:30

 IDC Japanは7月22日、ユーザー調査および取材結果をもとに、国内PC市場のビジネスユーザー動向を分析し、その結果を発表した。同調査は、2009年度にPCを購入した実績のあるユーザー企業1000社のIT管理者を対象にウェブにて調査したもの。

 これによると、2010年度にPCの買い替え意向があるユーザー企業は78.6%と、2009年度に実施した時の結果である53.9%を大きく上回り、PCの買い替えが進んでいることがわかった。

 2010年度にPCの買い替え意向のあるユーザー企業の割合の内訳をみると、47.2%の企業は、2009年の調査と比較して同等の台数またはそれ以上の買い替えを予定している。一方「壊れるまで使用する」と回答したユーザー企業の割合は、2009年度が25.6%であったのに対し、2010年度は12.8%と約半減した。また、2010年度の従業員規模では500人以上の企業が、産業分野別では金融が、それぞれ最も高い割合でPC買い替えの予算を準備しているとIDCは説明している。

 2010年度のPC製品に対するユーザー企業の満足度は86.0%で、非常に高くなっている。これは、PCという製品がCPU、OSなど仕様の観点でPCベンダーによる差がほぼ無くなってきており、どのベンダーのPCを選択しても同様の使い勝手や性能を得られるためとIDCでは考えている。PCベンダーに対する評価では、2009年度および2010年度共に「納入価格が安い」が最も評価されており、不満足な点は、2009年度は「表示価格が高い」、2010年度は「どのPCを自社が選択すべきかがわかりにくい」がそれぞれ第1位だったとIDCは報告している。

 2010年度にWindows 7導入を計画している企業は42.8%と、2009年度の32.3%を大きく上回った。このなかで「半年以内に評価を完了させ、問題がない場合は導入していく」と考える企業は、18.2%だという。Windows 7の導入率は向上しており、法人向けPC市場においてもPC買い替えに寄与するとIDCでは考えている。

 IDC Japan PC、携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの渋谷寛氏は「今回の調査結果から、2010年にはPCの買い替えが大きく促進されると考えられる。景気後退や金融危機の影響のため、2009年度のPCの買い替えは停滞したが、2010年度はPCの買い替えを考えている企業が増加傾向にあり、需要が回復してきたと考えられる。しかし、PC製品のコモディティ化は進んでおり、市場は成熟し、高い成長は見込めない。一方、国内PCビジネス市場は、年間約700万台の出荷があり一定の規模を持った市場だ。高機能で利便性の高いPC製品の価格低下と信頼性向上によって、より高い評価が得られている。したがって、差別化を図ることや違いを見出すことは困難になってきている。今後は、クラウドあるいは仮想化技術などの成長ドライバを適応させ、ITの集中化、標準化、セキュリティのサイクルに組み込んで最適化することが、PCビジネス市場の成長の鍵を握る」とコメントしている。

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