ITホールディングス傘下のTISとインテックは7月26日、SaaS型着信管理サービス「Callノート」を8月2日から共同で提供することを発表した。TISとインテックが協業するのは今回が初めてになる。
Callノートは、電話番号から広告効果の検証を支援するサービス。ユーザー企業は、掲載する広告媒体やウェブサイトごとに仮想の電話番号を発行、顧客からの電話は、ユーザー企業が指定する番号に転送される。こうした仕組みを取ることで、一般の顧客や消費者がどの広告媒体やウェブサイトを見て、電話をかけたかを把握することができる。
また顧客からの電話が着信するときに、電話の応対者には任意で設定された音声のガイダンスを流すことができる。電話の応対時には、顧客がどの媒体を見て問い合わせてきたかを把握することもできる。
Callノートでは、電話番号ごとの着信履歴を蓄積でき、着信履歴を分析、レポートとして確認することができる。蓄積されたデータはマーケティングの基礎データとして媒体分析や効果測定など、あらゆるシーンで活用できるという。
たとえば広告代理店では「この媒体は10万部発行しており、読者からの問い合わせは100件ありました」と説明できる。また、イベントの担当者は「Aというイベントでは資料を3000部配布したが、問い合わせは50件。Bというイベントでは2000部配布したら、問い合わせが200件あった。今後はBの方に注力していこう」と判断できるようになる。
Callノートの価格は、初期費用が30万円、月額基本料が10万円(同時接続数10本まで)からとなっている。これとは別に仮想電話番号発行手数料が1件500円、仮想電話番号管理費用が1番号あたり1カ月100円となっている。また、通話料は転送先が固定電話であれば3分10円となっている。
CallノートはSaaS型で提供されるが、APIも提供される。APIを活用すれば、既存システムと連携可能だ。TISとインテックでは、既存システムへの組み込みを支援するシステム構築も提供できるとしている。
Callノートの特長について、TISの岡部耕一郎氏(産業事業統括本部サービス&コミュニケーション事業部サービス第3部エキスパート)は、「スケーラブルで安定的な通信品質を提供できる」ことにあると説明する。同サービスでは、たとえば同時接続する回線数が1000以上などの膨大な利用者を抱えるとともにピーク性が高い大規模な利用ニーズにも対応できるとしている。
システムの内部にはインテックが独自開発したIP電話交換機を中核コンポーネントとして利用していることから、そうした大規模利用にも耐えられると説明している。今回のCallノートはTISとインテックの初の共同事業になるが、これはインテックの「IPテレフォニーの実績とTISのポータル構築ノウハウを組み合わせたもの」とインテックの山田康成氏(ネットワーク&アウトソーシング事業本部N&O事業推進部グループマネージャー)は説明している。
今回のCallノートは、ITホールディングスが7月21日に発表した事業「クラウドテレフォニー」の第1弾になる。クラウドテレフォニーは、ITホールディングスがグループ全社として展開する事業であり、電話とウェブシステムをシームレスに連携させることを目的にしている。
岡部氏は、今回のCallノートについて「内部的に電話転送に特化した汎用的な基盤機能と、電話番号と転送先を管理するサービスコンポーネントを組み合わせることで実装されている」と説明。今後はクラウドテレフォニーを充実させることを念頭に「そのほかの電話の基盤機能やサービスコンポーネントを充実させて、さまざまな組み合わせで新サービスをリリースしていく」としている。