日本のCEOの悩みは「方向性は分かっているがどう実現するか」--日本IBMが調査 - (page 2)

大河原克行

2010-08-10 15:15

 一方、日本のCEOがリーダーの資質として「創造性」を最も重視していること、世界のCEOよりも「グローバルな思考」を重視していることもわかった。ただ、創造性とグローバルな思考については、韓国のCEOの方が意識が高く、「創造性」では日本のCEOが58%なのに対して韓国が92%、「グローバルな思考」では、日本のCEOの42%に対して韓国では72%となっている。

 Japan Reportの中では、金融危機前までの長期的な利益成長と、金融危機後の顕著な利益回復を実現した上場企業を「花形企業」と位置づけており、花形企業に関しては、迅速な意思決定を重視するとしたCEOは67%に達した。

 また、「口コミでの納得感醸成よりも、トップからの意思伝達を重視する」とした回答は、日本のCEOでは59%、花形企業では63%となり、世界のCEOの25%を大きく上回った。「日本はボトムアップ型の合意形成で取り組むという印象があったため意外な結果ともいえるが、これは、日本の企業がトップダウンに取り組もうとしている動きと捉えることもできる」という。

 さらに、日本の花形企業40社のうち、金融危機以前の2007年度において全体の10%以上の営業利益をあげている地域を集計したところ、新興国市場から利益をあげている企業が16社、そのうち国内、欧米、新興国のすべてで利益をあげている企業が10社に達していることがわかった。

 「花形企業の多くが金融危機以前から欧米および新興国市場から利益を獲得していた」としたほか、「日本経済の潜在成長率は1%程度と言われるが、日本企業の潜在成長率は日本経済のそれに制約されるものではない。世界の経済成長の制約条件はエネルギー問題であり、日本の企業は制約条件の緩和を通じて、成長すべき存在になるだろう。日本のCEOは、環境や社会問題に対する関心の高まりが自社に強い影響を与えると見ているが、それは逆に強みにもできる。日本のCEOは、世界的に見ても切迫感を持っているのではないか」とまとめた。

単純化志向が強い日本のCEO「複雑性への対応方針」などを聞いた調査によれば、日本のCEOはグローバルと比較して「単純化志向」が強いことが分かったという(画像クリックで拡大表示)

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