IDC Japanは8月11日、国内ディスクストレージシステム市場における産業分野別2009年の分析と2010年〜2014年の予測を発表した。
これによると、2009年の同市場への投資額は1712億4800万円、前年比成長率はマイナス24.5%となった。2010年も2年連続のマイナス成長となる見通しで、投資額1617億2900万円、前年比成長率マイナス5.6%になるとIDCではみている。また、産業分野別では回復に差が生じるとしており、情報サービスがいち早く回復するものと予測している。
2009年の国内外付型ディスクストレージシステム市場を産業分野別にみると、全17産業分野中、前年比1.0%増の「医療」を除いた16産業分野でマイナス成長となった。そのうち13産業分野では、マイナス幅が2桁台となる大幅な落ち込みとなっている。特に落ち込みが大きかったのは、輸出不振や内需低迷の影響を最も受けた「組立製造」と「プロセス製造」で、どちらも前年比30%を超える規模のマイナス成長となった。
またIDCでは、2010年以降、同市場の産業分野間の回復速度には差が現れるとみている。「情報サービス」がいち早くプラス成長へ転じる一方、企業業績の回復が遅れている「組立製造」や「プロセス製造」は、2010年も10%超のマイナス成長が続き、さらに投資抑制が続くものと予測。一方、「情報サービス」は、企業データの外部保管サービスやクラウドへの投資意欲を背景に、今後、最も成長が期待される産業分野とみている。
2009年〜2014年の国内外付型ディスクストレージシステム投資における年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)についてIDCは、「情報サービス」が4.1%と最も高く、次いで「医療」「流通」「教育」が2.0%以上になる見込みだとしている。しかしながら、「医療」「流通」「教育」の市場規模は、2014年時点でも年間100億円に達しないと予測。2008年以前のように製造や金融といった規模の大きな産業の成長率が高く、投資を牽引するといった傾向は、今後変化していくとIDCではみている。
一方、産業分野別投資構成比の変化についてIDCは、2009年では、「官公庁」「通信およびメディア」「組立製造」「銀行」「情報サービス」が上位5産業分野だったが、2014年は、「通信およびメディア」「組立製造」「銀行」「情報サービス」「官公庁」の順になると予測。その背景として、民間企業に比べて投資抑制傾向が比較的緩やかであった官公庁は、相対的に2009年の構成比を高めたが、今後は支出抑制も厳しくなり民間企業ほどの成長は見込めないと説明している。なお、2014年の「情報サービス」の市場構成比は2009年と比べて2.0%以上増加し、市場構成比の観点からみても同市場は最も成長性の高い市場になるとIDCは予測している。
さらにIDCでは、2009年〜2014年の国内外付型ディスクストレージシステム市場におけるCAGRをマイナス0.2%と予測しており、プラス成長へ回復するのは2011年以降になるとみている。ただしプラス成長への回復後も、以前のような成長率までには回復せず、低成長期が続くものと分析している。
IDC Japan ストレージシステムズ シニアマーケットアナリストの筒井敏彦氏は「国内外付型ディスクストレージシステム投資は2011年以降、プラス成長に回復するとみられるが、産業分野によって回復速度が異なるため、どの産業分野に焦点を当てていくかがストレージベンダーのビジネス戦略においては非常に重要になる」とコメントしている。