ラックは8月19日、電子商取引(EC)サイトを標的としたクレジットカード情報や個人情報を窃取する攻撃について新たな攻撃対象の特徴や手口の傾向が判明したとして注意喚起を発表した。
同社の情報漏洩緊急対応サービス「サイバー救急センター」に問い合わせのあった最近の複数の事例で2つの特徴が確認されたという。1つは、攻撃者は検索エンジンを悪用して情報を窃取できそうなサイトを選別しており、「JCB」「VISA」「Master」などのカードブランド名称と、「支払」などのキーワードで検索している。
サイトのURLにPHPが含まれるサイトも標的としている。従来からの「.asp」や「.aspx」が含まれるサイトも引き続き標的になっている。さらに、検索結果にたとえば「xxxxx.php?code=xxxxx」のようにパラメータが表示されているサイトも標的としていることがわかった。
もう1つは、従来のWindowsサーバだけでなくLinuxサーバ上で稼動するApacheやPHPで構築されているサイト、そしてこのような環境を活用した低価格なホスティングサービスも攻撃者の対象となっていることもわかったという。これらはセキュリティへの考慮がほとんどなされておらず、その責任の所在も正しく認識されていないとしている。
同社では、1つめの特徴に該当し、これまでウェブアプリケーション診断を行ったことがない、あるいはウェブアプリケーションファイアウォール(WAF)といったSQLインジェクションなどの攻撃を防御する装置も導入していないECサイトは、すでに侵入されている可能性もあり得る致命的な状態の「警告レベル」であるとしている。
また、1つめの特徴に該当しなくてもカード情報や個人情報を保持しており、これまでウェブアプリケーション診断を行ったことがない、あるいはWAFなどの装置も導入していないECサイトは、いつ侵入されてもおかしくない危険な状態の「注意レベル」であるとしている。
警告、注意レベルにあるサイトは、対策方法として「自社サイトのログを確認して不審なものがないか確認する」「並行してウェブアプリケーションの脆弱性に関する鳥瞰検査を受ける」「カード情報を保持している場合は、決済会社と相談して非保持契約に切り替えるか、WAFなどの防御装置の導入を検討する」を挙げている。