大林組、NEC、ジャスト、地震後の建物の損傷度合いを検知するモニタリングシステム

ZDNet Japan Staff

2010-08-26 21:35

 大林組、NEC、ジャストの3社は共同で、地震後の建物の損傷度合いを検知する構造ヘルスモニタリングシステムを開発したと発表した。従来の同様のシステムより、大幅に安価(10分の1以下)で設置が容易な点が特長という。現在、NEC玉川事業場60号館やジャスト本社ビルに設置しモニタリング実証試験を開始しているという。

 地震で建物に損傷が発生した場合、損傷個所とその度合を迅速に確認することで、施設の復旧にかかる時間を短縮することが可能となる。「構造ヘルスモニタリングシステム」とは、建物内に設置したセンサで地震によるビルの揺れ具合やひずみ等のデータを収集し、異常個所を素早く確認するもの。国土交通省では、2008年度から3カ年計画の研究プロジェクトにおいて、ヘルスモニタリングシステム技術に着目し、住宅(主にRC造マンション)の維持管理の高度化に向けた研究に取り組んでいるという。

 しかし、従来のシステムは、高感度なセンサが必要なこと、システム内をすべて有線でつなぐため敷設工事が必要となること、大量の情報を収集解析する高価なプログラムを必要とすることなどからイニシャルコストの負担が大きく、かつ、常時電力を必要とするためランニングコストの負担もあり、手軽な設置が難しかったという。

 今回3社が共同で開発した構造ヘルスモニタリングシステムは、大林組の損傷検出、解析技術、NECの無線通信および情報収集アプリケーション構築技術、ジャストのセンサ技術を合わせたもので、鉄筋コンクリート造の建物が対象となる。安価なセンサの開発や、ネットワークを無線とし敷設工事を不要とすることで、導入コストを従来の10分の1以下に低減したとしている。なお、無線規格には「ZigBee」を採用しているという。

 今後3社は、実証実験で得られたデータから、同システムの効果、有効性を確認して商用提供開始に向けて機能の拡充や性能強化を行っていくという。システムの提供開始時期は2011年9月を予定しており、一般の建物に加え、学校や病院のような防災拠点、橋梁や道路、ライフライン、原子力施設や重要構造物などへの敷設を提案していく。

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