IDC Japanは9月1日、国内ソフトウェア市場について2009年の実績と2010〜2014年の予測を発表した。これによると、2009年の国内ソフトウェア市場規模は2兆361億8500万円で、前年と比較して10.7%縮小した。しかし、2010年はプラス成長に転じ、2009〜2014年の年間平均成長率(Compound Annual Growth Rate:CAGR)は2.3%、2014年の市場規模を2兆2777億4100万円と予測している。
2009年の国内ソフトウェア市場を大分類市場別に見ると、アプリケーション市場規模は、8173億1100万円(前年比成長率16.0%減)、アプリケーション開発/デプロイメント市場は4298億1300万円(同4.8%減)、システムインフラストラクチャ市場は7890億6200万円(同7.7%減)と、いずれの市場でもマイナス成長となっている。
またIDCでは、2010年の国内ソフトウェア市場について、予測の上方修正を行っている。3月の予測時点では、前年比成長率5.7%減、1兆9081億6900万円と見ていたが、サーバやPCの回復が予想より早く、2011年以降になると見込んでいた市場の回復が2010年に前倒しになる兆候が見えてきたためという。この結果、2010年の国内ソフトウェア市場の前年比成長率は1.2%、市場規模は2兆613億400万円となった。
大分類市場別の予測としては、国内アプリケーション市場については、2009〜2014年のCAGRは1.3%、2014年の市場規模は8699億9700万円に達するとしている。同市場で最も大きい市場構成比を占めるのは、コンテンツアプリケーション市場だが、この市場はオーサリング/パブリッシングソフトウェアの市場縮小の影響を受けるため、引き続き縮小するとIDCではみているという。しかし、2010年後半以降、他のすべてのアプリケーションソフトウェア市場が、再び成長曲線に入る見通しとしている。
また、国内アプリケーション開発/デプロイメント市場の2009〜2014年のCAGRは3.5%、2014年の市場規模は5099億2700万円に達する見込みという。同市場で最も市場規模が大きい構造化データ管理ソフトウェア市場の回復が、市場全体の中期的な成長をリードすることが期待されるという。また、次世代型のアプリケーション稼働基盤としてのプライベートクラウドへの企業の関心が高まっており、規模は小さいながらもクラウド型の開発ツール製品が分類される、「その他アプリケーション開発ソフトウェア市場」の成長が期待されるとしている。
国内システムインフラストラクチャ市場の2009〜2014年のCAGRは2.6%、2014年の市場規模は8978億1600万円に達すると予測している。同市場で最も市場規模が大きいシステム/ネットワーク管理ソフトウェア市場では、障害対応、IT全般統制への取り組み、仮想環境管理など、新たな需要が中期的な成長をけん引するという。また、次に市場規模が大きいシステムソフトウェア市場は、ハードウェア出荷低迷に伴うOSの売り上げが減少するものの、仮想化ソフトウェアの成長が見込まれるとしている。
IDC Japan、ソフトウェア&セキュリティシニアマーケットアナリストの冨永裕子氏は「国内ソフトウェア市場は、景気回復に伴い2010年にプラスに転じるものの、その後の成長は緩やかなものになるとみられる。このような状況下では、限られた市場を巡りグローバルソフトウェアベンダーと国産ソフトウェアベンダーのシェア争いも熾烈となる。ソフトウェアベンダーは企業ユーザーのソフトウェア投資を促す新しい投資機会を創出し、拡大しなければならない」とコメントしている。