IDC Japanは7月30日、国内「アプリケーションデプロイメントソフトウェア市場」の2009年の実績と2014年までの予測を発表した。これによると、2009年の国内アプリケーションデプロイメントソフトウェア市場規模は1157億5700万円となり、前年と比較して2.7%縮小したとしている。
IDCではこの市場を、よりインフラに近いアプリケーション稼働基盤となる「アプリケーションサーバミドルウェア」と、ビジネスプロセスの実行基盤を提供する「インテグレーションおよびプロセスオートメーションミドルウェア」の2つのセグメントで構成されると定義している。
2009年の売上額を見ると、国内アプリケーションサーバミドルウェア市場は650億8900万円(前年比成長率マイナス2.3%)、国内インテグレーション/プロセスオートメーションミドルウェア市場は506億6800万円(前年比成長率マイナス3.2%)で、いずれもマイナス成長となった。その原因としてIDCは、「新規IT投資の抑制が影響している」と分析。今後も市場の低迷による影響は継続し、2011年から回復基調に転じるものの、成長のスピードは緩やかなものとなることから、2つのセグメントを合わせた国内アプリケーションデプロイメントソフトウェア市場の2009〜2014年における年間平均成長率は2.8%、2014年の市場規模は1326億6600万円になると予測している。
またIDCは、IT部門で既存のITコストの削減が強く求められる年となった2009年は、特に円高が利益に及ぼす影響の大きいグローバルに事業を展開する製造業で、新規のソフトウェア投資を伴う施策の実施延期が多く見られたと説明している。同調査レポートの対象となる製品市場は、新規投資を伴うソフトウェアがほとんどであり、企業の投資意欲の減退は市場成長に大きなブレーキをかけることになったと分析している。
IDC Japan、ソフトウェア&セキュリティシニアマーケットアナリストの冨永裕子氏は「ユーザー企業は、今後の経済動向の先行き不透明感から、ITへの支出内容と実施施策には、投資対効果を厳しく問うだけでなく、より短期間で効果を得られるソリューションを好む傾向が強い。この購買動向が顕著に見られるのは、今後仮想化やクラウドビジネスの成長で影響を受けるアプリケーションサーバミドルウェア市場だ。同市場では、低価格ソリューションを短期間で迅速に提供することが、そしてインテグレーションおよびプロセスオートメーションミドルウェア市場では、高度なビジネス要件に応えるサポート力が、ベンダーの競争優位性確立のための鍵となる」とコメントしている。