IDC Japanは8月9日、国内カンファレンスソリューション市場について、2009年の同市場の分析と企業ユーザー利用動向および今後の導入意向などの調査結果を発表した。
IDCでは従来から、国内ユニファイドコミュニケーション市場のソリューション市場の1つとして、「IP会議システムおよびテレプレゼンス市場」の調査を行っている。今回は、国内カンファレンスソリューション市場として、一般電話回線やISDNなどを利用した「レガシー型会議システム」と、プラットフォームとしてIPネットワークを利用した「IP会議システム/テレプレゼンス」の両方について、企業ユーザーの利用状況や受容性について調査したという。
IPプラットフォームを利用した、IP会議システムおよびテレプレゼンス市場の2009年の市場規模は、前年比8.8%増の210億9400万円となり、堅調な成長を遂げたとする。IDCでは、国内経済状況が低迷する中で同市場が成長している理由として、出張旅費の削減、出張時間の節約など、経費削減や効率化の効果がユーザーに分かりやすいためとみている。また、2009年前半に流行した新型インフルエンザのパンデミック対策としてIP会議システムが多く導入されことも理由のひとつとして挙げている。
IDCでは、ユーザーのカンファレンスソリューション利用動向と今後の導入意向などについて2010年2月に調査し、国内の従業員100人以上のユーザー企業511社から回答を得ている。この結果、現在何らかのカンファレンスソリューションを利用しているユーザーは全体の62.4%、また、ビデオ会議ソリューションを利用しているユーザーは全体の41.9%という結果になった。IDCは、従業員規模が大きい大企業ほどカンファレンスソリューションの利用率が高い傾向が見られたと説明している。さらに、全体の平均と比較すると、従業員規模500人を境界として500人以上の企業では利用率が高く、500人未満の企業では利用率が低いことが判明したという。
また、将来の導入意向については、ウェブ会議サービス、自営IP高精細ビデオ会議システムに対する導入意向が高い結果となっているという。同市場では、高性能な自営システムと簡易なサービスを使い分ける2極化の傾向が強く、前年の調査と比較して、より情報量が多いソリューションにシフトしているとIDCでは分析している。
IDC Japan、ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの眞鍋敬氏は「国内IPカンファレンスソリューション市場のベンダーおよび販売チャネルは、モバイルデバイスなどの多様なプラットフォームにソリューションを対応させ、これを軸に、従来は利用意向が低かったユーザーへのアプローチを行い、対象市場を広げていくべきだ。その際に、初期投資だけでなく、ランニングコストを含めたトータルコストとROIの優位性を提案していくことが今後の成功要因となる」とコメントしている。