iPadを活用したワークスタイルやソリューションを紹介する企業セミナー「SoftBank Days 2010」が開催された。基調講演では、ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏が登壇。iPadの企業活用について語った。
日本の国際競争力を取り戻す
iPadを手に入れてからノートPCを持ち歩かなくなったという孫氏は、来場者に対しiPhoneとiPadを日常的に使っているかを質問。
「どちらか片方しか使っていないという人はビジネスマンとして大丈夫か思い直してみるべき。両方使っていない人は、人生そのものを振り返ってほしい」とコメントし会場の笑いを誘った。
また孫氏は、昨今の雇用問題や世界情勢を例に挙げ、「最近の日本企業には元気がない」と指摘。日本がかつての国際競争力を取り戻すには新たな武器が必要だと話し、iPadやiPhoneなどのスマートデバイスとクラウドを組み合わせることで、戦略的かつ持続的に生産性を上げられると自信を見せた。
iPad導入でコスト削減、生産性も向上
続いて、ソフトバンクテレコムでのスマートデバイスの活用事例を紹介。同社では全社員にiPadを配布したことで、1日の残業時間が平均32分削減できたという。
「多くの日本企業ではセキュリティの問題から自宅にパソコンが持ち帰れず、会社でなければ社内の情報にアクセスできない。iPadやiPhoneは、もし電車で落としても遠隔操作でロックできるためセキュリティ性も高い。移動中にメールを返信できるため生産性が上がる」
スマートデバイスを導入したことによる1人あたりの月間コストは1万5000円と、PCと携帯電話を使っていた頃(9000円)に比べ6000円ほど上がったが、残業代の削減やペーパーレスによるコストダウンはそれを大きく上回る4万3000円。また生産性が向上したことで、営業の獲得回線数が2倍に、訪問件数が3倍に増えたという。
「全社的にiPadを導入したいという企業も増えてきている。それらの企業に共通していえるのはリーダーシップが強い企業ということ。この不況下でも増収増益を続けている企業ほど、いち早くさらに強い武器を手に入れようとしている」
また神戸大学大学院 医学研究科 内科学講座特命講師の杉本真樹氏は、iPadを使った回診や医療研修の様子を紹介。医師間での決定速度の向上や医療従事者自らがアプリを開発できることが、全体医療の最適化につながると語った。