日本IBM、GPGPUを活用したHPCクラウドサービスを提供開始

富永恭子(ロビンソン)

2010-11-02 15:15

 日本IBMは11月2日、クラウドサービス「IBM Computing on Demand」を拡充し、大量データの並列処理に優れたハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)環境を提供するサービスを同日より開始すると発表した。

 IBM Computing on Demandは、IBMのデータセンターに設置され、HPC向けに構成されたサーバおよびストレージをセキュリティの確保されたネットワークを介して提供する同社のクラウドサービス。ユーザーの発注から1週間以内に必要な資源を提供するという。ユーザーは必要なソフトウェアをインストールし、イントラネット上の資源として管理できる。繁忙期への対応や短期間での新製品開発などで一時的なパフォーマンスの増強が必要な際に、必要な期間だけ利用できるとしている。

 今回の拡充では、画像処理向け補助演算装置(GPU:Computation on Graphics Processing Units)を汎用化したGeneral-Purpose GPU(GPGPU)を活用することで、大量データの並列処理に優れたHPC環境を提供するという。GPGPUは、GPUの持つ特定演算処理のハイパフォーマンスに着目し、その処理能力をHPCのコンピューティングパワーに生かす手法。画像処理だけでなく、金融リスク計算や医用画像のリアルタイム処理、物理シミュレーションなど、さまざまな分野のアプリケーションに対応するという。

 新サービスでは、448個の演算コアを搭載したGPGPU2個を最小単位とし、1週間以上1日単位の期間で利用できる。GPGPU2個の環境でも、1TFLOPSを超える処理能力を備えるという。なお、初めてGPGPUを活用する場合、既存のCPUベースのHPCアプリケーションをGPGPU向けに最適化する必要があるが、スーパーコンピュータ向けアプリケーションの開発エンジニアによる「IBM 超並列技術支援サービス」により、アプリケーション移行のアセスメントや作業支援、全作業の請け負いサービスなども提供するという。

 新サービスの価格は、8個のGPGPUによる4.12TFLOPSの処理能力を1カ月利用する場合で160万円(税別)から。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

関連記事

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    新入社員に教えるべき情報セキュリティの基礎知識--企業全体を守るための基本ルールを徹底解説

  2. セキュリティ

    マンガで解説!情シスが悩む「Microsoft 365/Copilot」の有効活用に役立つ支援策

  3. ビジネスアプリケーション

    AIエージェントの課題に対応、生成AIの活用を推進するための5つのデータガバナンス戦略

  4. ビジネスアプリケーション

    AIの投資対効果を最大化する「先導者」の存在--企業に求められる戦略策定能力

  5. ビジネスアプリケーション

    「AIエージェントによる顧客サポート」など10選、セールスフォースが示す最新のデータ活用法

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]