日本IBMは11月2日、クラウドサービス「IBM Computing on Demand」を拡充し、大量データの並列処理に優れたハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)環境を提供するサービスを同日より開始すると発表した。
IBM Computing on Demandは、IBMのデータセンターに設置され、HPC向けに構成されたサーバおよびストレージをセキュリティの確保されたネットワークを介して提供する同社のクラウドサービス。ユーザーの発注から1週間以内に必要な資源を提供するという。ユーザーは必要なソフトウェアをインストールし、イントラネット上の資源として管理できる。繁忙期への対応や短期間での新製品開発などで一時的なパフォーマンスの増強が必要な際に、必要な期間だけ利用できるとしている。
今回の拡充では、画像処理向け補助演算装置(GPU:Computation on Graphics Processing Units)を汎用化したGeneral-Purpose GPU(GPGPU)を活用することで、大量データの並列処理に優れたHPC環境を提供するという。GPGPUは、GPUの持つ特定演算処理のハイパフォーマンスに着目し、その処理能力をHPCのコンピューティングパワーに生かす手法。画像処理だけでなく、金融リスク計算や医用画像のリアルタイム処理、物理シミュレーションなど、さまざまな分野のアプリケーションに対応するという。
新サービスでは、448個の演算コアを搭載したGPGPU2個を最小単位とし、1週間以上1日単位の期間で利用できる。GPGPU2個の環境でも、1TFLOPSを超える処理能力を備えるという。なお、初めてGPGPUを活用する場合、既存のCPUベースのHPCアプリケーションをGPGPU向けに最適化する必要があるが、スーパーコンピュータ向けアプリケーションの開発エンジニアによる「IBM 超並列技術支援サービス」により、アプリケーション移行のアセスメントや作業支援、全作業の請け負いサービスなども提供するという。
新サービスの価格は、8個のGPGPUによる4.12TFLOPSの処理能力を1カ月利用する場合で160万円(税別)から。