組み込み系を統合することで、情報家電業界への普及を加速
また今年の10月、Torvalds氏がフェローを勤めるLinux Foundationが、Consumer Electronics Linux Forum(CELF)を統合したことを発表した。今後CELFは、Linux Foundationの技術ワークグループととして活動を推進する。
Consumer Electronics――いわゆる組み込み分野でLinuxは、情報家電やさまざまなモバイルデバイスなどで活用が進んでいる。
しかし、これまでは「Linuxのカーネルにとって、組み込み系の分野は特殊だった」とTorvalds氏はいう。
「メインラインのカーネル開発においては、コンスタントなバージョンアップが通常だ。ところが、組み込み系の場合、いったんプロダクトができあがると、ソフトウェアとしてはそれで更改がなくなってしまう。このワーキングプロセスの違いが、Linuxにおいて問題になっていた。しかし、今回の合併により、両者のリソースをメインラインに統合していくことによって、Linuxとしてより明確なメッセージを発信するとともに、家電などの組み込み分野でLinuxの普及がより効率的に進むと考えている」(Torvalds氏)
また、統合によってCELFには、これまでの投資にLinux Foundationからの投資が加わることになる。Torvalds氏はこれまでのオペレーティングバジェットを倍増し、CELFをさらに推し進めていきたいとしている。
なお、C&C賞は、「量子細線・量子ドット半導体デバイスに関する先駆的・先導的貢献」により、東京大学 名誉教授の榊裕之氏と東京大学 ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構長の荒川泰彦氏のグループも受賞。
また、「NEC C&C財団25周年記念賞」は、「地球圏外天体への離着陸と地球帰還を世界で初めて実現した『はやぶさ』の通信・制御を核とする総合システム技術の開発」に対する貢献から、宇宙航空研究開発機構 名誉教授の上杉邦憲氏と、宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 宇宙航空システム研究系 教授 研究主幹で、月・惑星探査プログラムグループ プログラムディレクター、“はやぶさ”プロジェクトマネージャーを務める川口淳一郎氏が受賞した。