「リスクをとる」時に心にとめておきたい10のこと - (page 3)

富永恭子(ロビンソン)

2010-12-08 09:00

#7:過去の失敗や努力を見直す

 「リスク要因を評価する」というと、つい自分の周囲にあるものにばかり目がいきがちになる。しかし、実は自分自身が、最大のリスク要因になっているということもある。たとえば、仕事に新鮮さややりがいを感じられず、能率が極端に落ちる「スランプ」には、多くの人が陥る。この「スランプ状態」にある自分はリスク要因となる。

 そんなときは、過去の失敗や努力を見直す時間をとってみてはどうだろう。その際は、ただ漫然と過去を振り返るのではなく、そのひとつひとつに自問してみよう。たとえば、「なぜ、この案件はうまくいかなかったのか?」「もう一度試してみたら、成功する可能性はあるか?」そして「この結果から自分が学んだものは何か?」といった具合だ。

 失敗は往々にして起こるが、その経験をゴミ箱に放り込むだけではいけない。失敗には、必ず何らかの理由がある。過去の失敗や努力を見直して、その理由を把握しておくことは、自分の中にあるリスク要因を減らすための効果的な方法であり、次からリスクをとりつつ前進するための武器となる。

#8:ルールを知って、ルールを破る

 リスクを不必要に恐れず、自信を持ってどんどん自分がやりたいことを実現できれば、どんなに気持ちのよいことだろう。しかし、誰もが生まれながらにそうした自信を持っているわけではない。石橋を叩き続けるだけでは、前に進めないのはわかっているが、やはりリスクをとることには抵抗がある。だから、たいていの人たちは、疑問や不満や不都合を押し込めたまま、会社や上司のルールの中で仕事をし続けている。

 でも、ここでちょっと考え方を変えてみよう。今あるルールをすこし破ってみる程度のことも、考えようによっては「リスクをとる」ことなのではないだろうか。そう考えると、前に進めそうな気がしてくる。

 世に言われる成功した人の多くは、ルール破りの名人だ。ITの世界なら、Bill Gatesだって、Sergey BrinやLarry Pageだって、みんな自分のアイデアに確信を持って、自分が破ることのできるルールを見抜き、それを実行している。「小さな新興企業は、昔からある大企業に勝てない」などというばかげたルールを、彼らは信じていなかった。

 もちろん、破るべきルールを見分けるセンスは人それぞれだ。しかし、ルールをよく知ることによって、もっと楽な気持ちで「ルールを破る」というリスクをとることができるのではないだろうか。

#9:他人の助けは期待しない

 仕事で斬新なアイデアを思いついたのに、周りの反応が怖くて、結局提案できなかったということはないだろうか。誰でも他の人から、馬鹿なアイデアだと思われるのは嫌だし、波風を立てたくないという気持ちも理解できる。それに、「自分の直感」に常に絶大な自信を持てる人などそういない。

 しかし、いい提案があるのに、会議の席でひたすら黙り込んでいる人がいるとしたら、もったいないなと思う。「きっといつか誰かが気がつくだろう」などと思っているのかもしれないが、他人の助けは期待しないことだ。自分自身で実現しなければ、誰も実現してはくれない。だから、自分のアイデアは、自分の直感を信じて、自分で売り込むしかない。

#10:失敗したらその経験を次に生かす

 リスクをとってチャレンジした結果が思わしくなかったとしても、「失敗した事実」にとらわれて、自分からハンディを背負い込むことはやめよう。「リスクをとる」というのは「失敗する可能性を織り込んで挑む」こと。つまり、そもそも「失敗も想定内の結果」として受け止められなければ「リスクをとった」ことにはならないのである。

 むしろ不本意な結果から何を学べるかに意識を集中するべきだ。状況は、常に変化する。時間は、失敗をあなたと一緒に悲しむために、歩を緩めてはくれない。「次の一手」に、そこから得られた知識をどう活用するかを考える方が、はるかに有意義だ。

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