NEC、奈良県下7市町に基幹システムのクラウドサービスを提供

富永恭子(ロビンソン)

2010-12-07 19:08

 NECは12月7日、奈良県の香芝市、葛城市、川西町、田原本町、上牧町、広陵町、河合町の7市町に対し、基幹業務システムをSaaS型で提供するクラウドサービス「GPRIME for SaaS」の提供が決定したと発表した。

 従来、地方公共団体で導入が進んでいたサービスは、電子申請や施設予約などフロントオフィス系業務が中心だった。バックオフィス系業務である基幹システムの場合は、個々の地方公共団体が独自システムを構築するか、複数の地方公共団体が共同で構築した独自システムを所有し、データセンターに設置する形態が主流だったという。

 一方で昨今、地方公共団体においては、効率化促進やコスト低減に加え、大規模な制度改正への対応やセキュリティ対策の強化などの課題を抱える一方、限られたリソースで多様化、高度化する行政サービスを実現していくことが急務となっている。こうした背景のもと奈良県下7市町は、職員の負担軽減や最適配置、システム運用、維持コストの削減、環境変化への迅速な対応を可能にする先進的なシステム基盤の利用を求めており、今回の導入に至ったとしている。

 NECは、地方公共団体の住民情報、財務会計、人事給与などの基幹業務システムをSaaS型で提供する「GPRIME for SaaS」を1月から販売している。7市町は、このGPRIME for SaaSが提供するシステム機能のうち、住民情報、税務、国保/年金、福祉医療、介護など22の業務システムをクラウドサービスとして利用する。GPRIME for SaaSは、NECが特定のデータセンターから基幹システムの業務パッケージをネットワーク経由で提供するもので、基幹システムを所有せずにサービスで利用する形態は全国でもまだ例がないとしている。

 GPRIME for SaaSの提供とともにNECは、7市町に対して基幹業務に付随する帳票出力(印刷)、帳票の封入および封緘、運搬、配送などの作業もアウトソーシングサービスとして提供する。システムから付随作業まで基幹業務支援にかかわるサービスをトータルに提供することで、7市町はこうした作業の職員負担も軽減できるとしている。

 同サービスは、第1弾として河合町で2011年度から利用が開始され、他市町においても現行システムの切り替え時期に合わせて順次開始される予定。NECは、今回の奈良県下7市町を皮切りに、今後、関西エリアをはじめ、全国に向けてGPRIME for SaaSを中心とした地方公共団体向けクラウドサービスの販売強化を図っていく。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    「2024年版脅威ハンティングレポート」より—アジアでサイバー攻撃の標的になりやすい業界とは?

  4. ビジネスアプリケーション

    Microsoft 365で全てを完結しない選択、サイボウズが提示するGaroonとの連携による効果

  5. セキュリティ

    生成AIを利用した標的型攻撃とはどのようなものなのか?実態を明らかにして効果的な対策を考える

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]