IDC Japanは1月11日、国内産業分野別企業規模別IT市場における2010年上半期の分析と2010~2014年の市場規模予測について発表した。
調査結果によれば、2010年の大企業(従業員規模1000人以上)およびSMB(中堅中小企業、従業員規模999人以下)の官公庁、教育、消費者を除くIT支出額合計は、9兆4870億円、前年比成長率は0.3%となり、プラス成長を示した。IDCでは、日本経済は徐々に明るさが増しており、それに伴いIT支出は緩やかな回復基調を示していると説明する。
企業の規模別で見ると、2010年の小規模企業(1~99人)のIT支出額は1兆2099億円で前年比成長率マイナス0.5%、中小企業(100~499人)は1兆5834億円で同マイナス0.1%、中堅企業(500~999人)は8427億円で同0.2%、大企業(1000人以上)は5兆8509億円で同0.6%とIDCでは予測している。規模が大きいほど成長率が高い傾向がみられるという。
しかし一方で、一般に経営体力の劣るSMBでは、業績が徐々に回復に向かう企業もある反面、低迷する企業も多く、全体としてIT支出の抑制傾向が続いているという。そのため、2010年のSMBのIT支出は2009年に引き続きマイナス成長になるとIDCでは予測している。ただし、2009年と比較してマイナス幅は小幅になるとみている。SMBについては、景気回復に伴い2011年からプラス成長に転じ、2011年のIT支出額は、3兆6380億円、前年比成長率0.1%になるとみているが、本格的な回復は2012年以降になる見込みという。
一方、2010年の大企業のIT支出は、景気回復に伴い2009年のマイナス成長からプラス成長に転じるとIDCでは予測している。2011年以降は、本格的な回復に従ってこれまで延期されていたシステム刷新、新規開発が再開されることで、2011年のIT支出額は、5兆9341億円、前年比成長率1.4%とプラス成長が持続するとしている。
IDCでは、この背景として、国内経済の発展が見込めない状況下で、新たなビジネス機会を求めて新規事業へ進出する企業が多くあることを挙げる。IDCJapan、ITスペンディングシニアマーケットアナリストの福田馨氏は「ITベンダーは新規事業に進出する企業に対し、効率的な業務プロセスや短期間での商品化を実現するソリューションの提案など、新規事業発足の段階から参画するアドバイザリビジネスに注目すべきだ」とコメントしている。