ノークリサーチは1月11日、2011年の中堅中小企業におけるIT市場の展望に関するコメントを発表した。2010年の調査結果から重要と思われるものを選び、大企業の施策と対比させながら、注目すべき以下のポイントを挙げている。
- 2011年は2010年比プラス0.9%の横ばいだが、2012年以降に向けた下地作りが重要
- クラウドの訴求は「基本インフラ維持負担軽減」と「業種別業務改善」の2つが有効
- スマートフォンやタブレット端末が中堅中小企業で普及するまでには時間を要する
- 「オンデマンドなアドホック分析」と「現場レベルでの可視化」がビジネスインテリジェンス(BI)の潜在需要を喚起
- クライアント環境の仮想化では業務アプリケーションも含めたサービス提供が必要
- クラウドによる構造変化だけでなく、海外展開に伴う委託先の変更にも注意すべき
1.の前年比プラス0.9%という数字は、年商5億円以上〜500億円未満の中堅中小企業のIT投資規模を算出した結果だ。同社によると、2011年の中堅中小企業のIT投資規模は前年からほぼ横ばい状態の4兆4425億円で、IT投資を極力抑えて様子を見ようとする傾向が強いとしている。
IT活用に積極的なユーザー企業はサービス形態への移行や業務システムの刷新といった取り組みを進めるが、中堅中小全体では更新需要が多くを占めると見ており、カテゴリ別では前年比でハードウェアが1.9%増、ソフトウェアが0.39%増、サービスが0.38%増としている。
だが、2012年以降はサービス形態でITを活用するソリューションが徐々に洗練され、ユーザー企業の認知や意識にも変化が表れてくるという。2011年はベンダー企業にとって自社のソリューションを訴求できる企業セグメントを見つけて、初期導入事例を通じてノウハウを蓄積することで、2012年以降の本格展開に備えることが極めて重要と説明している。
2.に関連して同社では、中堅中小企業でもサーバ仮想化への関心は急速に高まっているが、中堅中小企業がサーバ仮想化に期待しているのは、ハードウェアとソフトウェアの分離によるシステム安定性強化やレガシー資産継承としている。
中堅中小企業の多くは、既存の業務システムを外に出すことでコスト削減を実現することをクラウドに期待しているというが、クラウドへの期待と現実とのギャップがあるとして、クラウド活用に慎重な姿勢をみせているとしている。
そこでクラウド訴求のアプローチを変える必要があると提言している。1つめは“基本インフラ維持負担削減”であり、2つめが“業種別業務改善”としている。