IDC Japanは3月30日、国内ルータおよびイーサネットスイッチ市場の2010年第4四半期(2010年10~12月)および2010年の実績値を発表した。
これによると、2010年第4四半期の国内ルータおよびイーサネットスイッチの市場規模は、ルータが259億1000万円、イーサネットスイッチが434億9900万円で、それぞれ前年同期比で9.1%、16.8%の大幅増加となっている。2010年通年でも、ルータ、イーサネットスイッチ市場はともに前年を上回ったという。
2010年第4四半期には、通信事業者向けと企業向けのいずれもが増加したという。通信事業者向け売上高では、ルータが183億円、イーサネットスイッチで109億円となっている。IDCでは、NTTのNGNサービス向け需要が持続していることに加え、移動体通信事業者のLTEサービス用設備投資が、同四半期の通信事業者向け市場を押し上げたと見ている。企業向け市場も、大規模なネットワーク更改に伴う需要は依然として弱いものの、中小規模のネットワーク構築や更改によるルータ、イーサネットスイッチ需要が市場を押し上げ、前年同期を上回る売り上げを達成したという。
2010年第4四半期のベンダーシェアは、ルータ市場では、通信事業者向けで高い売上高を有するシスコシステムズ、ジュニパーネットワークス、アラクサラネットワークスが上位3社で、SOHOルータ(平均購入価格が11万円以下の企業向けルータ)に強いヤマハがそれに続いた。イーサネットスイッチ市場でも、シスコシステムズが40%以上の高いシェアポイントを獲得し第1位を維持している。また、第2位には、Fixed Port型レイヤ2スイッチ製品の販売が堅調だったアライドテレシスが入り、富士通、日立電線、アラクサラネットワークスと続いている。
2010年通年のルータ市場は1108億円(コンシューマー向けは除く)、イーサネットスイッチ市場は1664億円といずれも前年を上回り、2009年の大きなマイナスからプラス成長に転じた。
IDC Japan、コミュニケーションズグループシニアマーケットアナリストの草野賢一氏は「通信事業者向け市場は、NTTのNGN向け投資の一巡に伴って、需要の中心がモバイルネットワークやその他の通信サービス向け投資に移行してきている。NGN向け売り上げの減少を、モバイル向けを中心とした需要で補えるかが鍵である」とコメントしている。