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SAPジャパン社長、震災直後の意思決定プロセスを語る - (page 3)

冨田秀継 (編集部)

2011-04-09 00:22

ビジネスを止めない

 「震災直後は、まず社員と家族の安全を確保することが優先事項であった。それと同時に進めたのが、継続的な顧客サポートだ。東京のオフィスだけでなく西日本など国内の複数拠点で、互いに補完し合いながら常にバックアップをとれる体制を持っている。また、日本国内だけでなく、近隣では中国の大連にもサポート体制を持っているため、あらゆる手段を使ってサービスを提供し続けることを同時に進めていた」

 「(震災発生から取材時点までの)この期間、SAPのシステムは1件も停止していない。日本国内にある我々のシステムは、すべて問題なく稼働し続けた」

 このように、事業継続の確保という点でITが果たした役割は大きい。イルグ氏も「今回はテクノロジーが大きな力を発揮した」と述べている。

 「震災の直後でもモバイルで連絡を取り合い、(西日本の)担当者から値引きの相談や、顧客への提案の相談がきていた。金曜日(11日)の午後であっても、そういう連絡を取り合いながらモバイルで事業を継続できた」

 決断に毀誉褒貶はつきものだが、特にこうした状況にあっては「毀」と「貶」に傾きがちでもある。しかし、矢継ぎ早に繰り出した決断を、イルグ氏は後悔していないようだ。

 「今では、すべての決断が正しかったと思っている。しかし、それができたのは、私の下した決断を多くの人々がしっかりと実行し、正しく行動してくれたからだ」

より強い国、より良い国になるという希望

 インタビューは1時間の予定だった。ちょど1時間が経過し、筆者が取材を終える旨を告げてICレコーダーを手に取ると、イルグ氏は「一言付け加えさせてほしい」と述べ、続けて語り出した。それは、長年日本で暮らし、仕事をしているイルグ氏が、頭でこそ理解していたが身をもって納得しきれないでいた日本の人々の姿だった。この一言は8分間続いた。

 「震災は本当にショックだった。しかし、被災地の人々、日本の人々、そして日本のビジネスは、慌てることなく、冷静に対応している。普通はパニックが起こったり、犯罪が横行することもあるが、お互いを助け合い、現在の状況に立ち向かうという気持ちで一つになっている」

 「今回のようなことがあり改めて日本人の強さと結束力が明らかになったと思う。日本は、こういうことがあったからこそ、より強い国、より良い国になっていくのではないかという希望も持っている」

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