IDC Japanは4月13日、国内ユニファイドコミュニケーション(UC)市場におけるベンダー競合分析を行い、調査結果を発表した。同調査は、IDCの国内UC市場の定義に従い、「IPテレフォニー」「UCメッセージング」「IPコンファレンスシステム」「IPコンタクトセンターシステム」の4つのソリューション市場で、主要なベンダーのポジショニング、ビジネス動向、各ソリューション市場の寡占化状況などについて調査および分析したものだ。
IDCでは、2010年下半期の国内UC市場は、IPテレフォニーを中心に回復基調であり、2010年全体では前年比2.6%増の1396億2800万円になったと推定している。同市場で、NECはベンダーシェア20.0%を獲得し、2009年に続き首位を保持した。2位以下には、OKIネットワークス(同15.8%)、日立製作所(12.8%)、富士通(10.7%)が続く。同市場では、ビデオソリューションへの注力や販売チャネル獲得に成功したベンダーが2010年の売上額を成長させているという。
一方、ソリューション市場別の寡占化状況では、IPテレフォニー市場では上位3社での売上額が70%を超えており、寡占化が進んでいるとしている。IPコンファレンスシステム、IPコンタクトセンターシステム市場では、上位3社の売上額合計が減少する傾向にあり、寡占化が後退しているという。IDCでは、この理由について、同ソリューション市場では2010年からSaaS提供事業者が数多く出現しており、これらのサービスが自営システム市場を侵食し始めているためと分析している。
IDC Japan、ソフトウェア&セキュリティグループリサーチマネージャーの眞鍋敬氏は、「UC提供ベンダーおよび販売チャネルは、急速なICT投資額増加が見込めない市場環境の中、価格競争に陥らないユーザー企業のインフラ更新需要獲得、UCアプリケーションの自社での活用とユーザーへの横展開、ビデオ、モバイル、ソーシャルメディアなど有望分野への投資が求められる」とコメントしている。