シスコシステムズ合同会社(シスコ)は5月9日、東京国際空港ターミナル(TIAT)が、東京国際空港(羽田空港)の新国際線地区旅客ターミナル(新国際線旅客ターミナル)の基幹業務を支えるデータ通信ネットワークのインフラ設備として、シスコのIP統合ネットワークを採用したと発表した。
2010年10月21日より業務を開始したTIATでは、各種情報システムが個々に独立しているためにおこる、高額なインフラの運用管理費用、情報システムのサービス提供範囲の制限、情報システム間の連携などの課題を克服し、将来を見据えた、可用性が高く、迅速なサポートを行える包括的なネットワークシステムの構築を検討していたという。
空港ビルの基幹ネットワークには、「業務系ネットワーク」「セキュリティ系ネットワーク」「エアポート系ネットワーク」の3系統のネットワークで構成されたシステムがある。
業務系ネットワークには、チェックインカウンター、テナントのPOSレジ、インフォメーションディスプレイ、デジタルサイネージなど基幹業務システムが接続されるため、高信頼性、システムごとの要件に応じたセキュリティポリシが設定可能な柔軟性の高さ、拡張性が求められるという。また、セキュリティ系ネットワークには、400台以上のIP監視カメラ、30台以上のレコーダが接続され、広帯域、高速転送に耐える通信性能、高可用性、マルチキャスト通信の信頼性が求められる。また、旅客向けサービス用のエアポート系ネットワークには、一般利用者向けのインターネット端末、情報コンセントなどが接続され、安全性、拡張性、可用性が求められるという。
シスコのIP統合ネットワークは、これらの情報システムを24時間365日、一元的に管理できるようにすると共に、同一のネットワーク上で管理することで省電力化や各設備の運用コスト削減、堅牢なセキュリティを確保するとしている。
今回の導入により、TIATでは、ディスプレイ、情報コンセントを旅客の要望に応じて柔軟に拡張することによって、旅客の利便性の向上を図ることができるようになったという。またデータ通信ネットワーク全体の一元的な管理、システム間の相互連携、安定した高速・広帯域な通信により、空港関連職員の業務効率化を実現できるとしている。さらに、24時間365日監視体制を実現するIP監視カメラネットワークやカメラ、セキュリティ系システムの情報を基幹業務システムへ提供することにより、空港における安全、安心の強化を可能にするという。