EMCジャパンとシスコシステムズ、ヴイエムウェアが共同で展開する“Virtual Computing Environment(VCE)連合”が提供するITインフラストラクチャ製品「Vblock」が日本で受注していることが明らかになった。10月15日に開かれたVCE連合の説明会で、シスコシステムズ合同会社専務執行役員の石本龍太郎氏(データセンタ/バーチャライゼーション事業統括)が説明している。
Vblockは3社が提供するサーバやストレージ、仮想化ソフト、スイッチなどをパッケージ化、仮想化技術をベースにしたオールインワンシステムだ。米国市場では2009年11月から、日本市場では2月から提供が始まっている。どんな企業から受注したのかは明らかにしていないが、石本氏は「提供開始から5カ月後には初受注しており、現在はほぼ稼働に近い状態にある」と説明している。
Vblockはプライベートクラウド(VCE連合では「インターナルクラウド」という名称を使う)の基盤となる製品だが、同様の製品は日本の国内ベンダーからも提供されている。他社製品との違いについて、石本氏は「Vblockのコントロールポイントは1カ所。管理ツールの『Ionix Unified Infrastructure Manager(UIM)』からすべて管理でき、運用管理が楽になる」と説明。他社製品がストレージならストレージ、サーバならサーバとさまざまな管理ツールをいじる必要があるのに対し、Vblockではそうした煩わしさがないと強調している。
現在、Vblockは3社が共同で設立したイノベーションセンターでさまざまな検証が行われている。サンタクララ・イノベーションセンターのシニアディレクターを務めるHong Kwek氏は現在同センターで「Vblockを災害対策(ディザスタリカバリ:DR)に活用する際の検証を行っているところ」と説明する。
EMCの複製技術や分散リソーススケジューラ技術などを活用して、DRの仕組みを構築しようとしている。具体的には、遠隔地にあるデータセンター同士を結び、データセンターをまたいでアプリケーションを無停止移動させることに成功しているという。「現在は100�以内であれば可能であり、2011年には2000�以内、2012年には10万�になるだろう」(Kwek氏)としている。
またサンタクララ・イノベーションセンターではVblockで稼働するアプリケーションも検証している。現段階では、VMwareの仮想デスクトップソフト「VMware View」やSAPアプリケーション、ビジネスインテリジェンス(BI)ソフトの「Greenplum」(EMCが7月に買収)を検証している。
今後はMicrosoftのメッセージングサーバ「Exchange Server 2010」やコラボレーションサーバ「SharePoint Server 2010」なども検証する計画を打ち出している。これらのアプリケーション検証についてKwek氏は、「“Vblockの上で動きますよ”というレベルではなく、それぞれのアプリケーションに最適な設定やパラメータにして、ユーザー企業に最適な状態で提供することを目的にしている」と説明している。