東日本大震災の影響による電力不足が問題となり、今夏以降にかけて、全国規模でより一層の節電が求められているが、日本マイクロソフトはOSにWindowsを搭載するPCの電力消費に関する詳細な調査を行い、その結果と推奨される効果的な節電対策方法を5月10日に発表した。同社の試算によれば、Windows PCに適切な設定を行うことにより、約30%(1台あたり約16W)の節電効果が期待できるという。
この調査は、日本マイクロソフトが財団法人電力中央研究所との協力で行ったもの。Windows 7/Vista/XPの各OSについて、それぞれが販売されていた時期の代表的なスペックを持つハードウェア(PC)で利用した場合の待機電力(電源オフ時の消費電力)、スリープ(スタンバイ)時の待機電力、一般的な利用シナリオに基づいた起動時、利用時、シャットダウン時などの消費電力などについて計測を行い、効果的な節電方法を提案している。
昼休みには「シャットダウン」? 「スリープ」?
節電効果を期待して、昼休みなどのPC非使用時に、こまめにPCの電源をオフ(シャットダウン)しているという人もいるかもしれないが、今回の計測結果に基づけば「1時間45分」程度の間、PCを使わないならば、シャットダウンよりもスリープ(スタンバイ)機能を利用した方が、結果的に積算消費電力は低く抑えられることが分かったという。これは、会社などで多く使われていると思われるWindows XPのデスクトップマシンでの結果だが、OSのバージョン、デスクトップかノートPCかを問わず、おおむね同様(Windows XPノートでは約40分、他はいずれの組み合わせも約1時間20分~50分)の結果になっているという。
スリープ機能は、PC本体の電源を完全には落とさずに、メモリ内容などを維持できる程度の電力を供給し、復帰時にスリープ前の状態で作業を再開できる機能だ。ノートPCのユーザーにはなじみが深いだろうが、デスクトップPCで同機能を活用しているユーザーは多くないのではないだろうか。
日本マイクロソフト、コマーシャルWindows本部業務執行役員本部長の中川哲氏によれば、Windows PCでの電源オフ時とスリープ時の待機電力の差は、平均して約0.5W。一方で、電源オフ状態からの起動とスリープからの復帰では平均で約3倍以上、電力消費量に差が出るという。そのため、「積算電力消費量で計算した場合、約1時間45分以内に利用を再開するのであれば、シャットダウンよりもスリープのほうが節電効果が高い」ことになる。
同社では、節電を目的とするのであれば、ノートPCだけでなく、デスクトップPCでもスリープ(スタンバイ)を積極的に利用することを提案している。また、「コントロールパネル」の「電源オプション」の設定を変更し、一定時間PCの操作が行われなかった場合に、自動的にスリープ(スタンバイ)状態になるように設定しておくことも推奨している。