3:新しいファイルを優先する
クラウドへのバックアップを行うアプリケーションに対して、バックアップ処理を行うファイルの優先順位を設定する場合、バックアップ対象ファイルの形式だけでなく、ファイルの新しさを基準にすることもできる。
昨日作成されたばかりのファイルと5年前に作成されたファイルがあり、どちらのファイルがユーザーからリストア要求を受ける可能性が高いかと尋ねられた場合、少し考えるだけで前者だということが分かるはずだ。このため、初期バックアップの場合であったとしても、新たに作成されたファイルを即座にバックアップするように設定しておくことが理に適っているというわけである。
こういった設定は筆者自身も使用したことがある。というのも、ネットワーク上にある古いファイルはすべて、リムーバブルメディアにバックアップしてあったのである。しかし筆者は、オフィスが火災やハリケーンの被害に遭った場合に備えて、こういったファイルもクラウド上にバックアップしておきたいと考えていた。とは言うものの、より緊急性が高いのは、それまで1度もバックアップしたことのない新しいファイルの方だというわけだ。このため、新しいファイルを高い優先順位に設定しておくことで、初期バックアップの最中であっても、新たなデータを優先的に保護できたのである。
4:重複データのバックアップを抑止する
クラウドへの初期バックアップは何カ月もかかる可能性があるため、バックアップ対象データは最小限に抑えておくことが望ましいだろう。こういった考慮は、バックアップ料金が毎月のバックアップデータ量によって決定される場合に特に重要となってくるはずだ。
データの保全性を犠牲にすることなくバックアップ対象データの量を削減する方法として、重複データのバックアップを抑止するというものがある。具体的な方法は、クラウドバックアップのプロバイダーによって異なっている。例えば、プロバイダーによっては同じファイルを何度もバックアップしないという手法を採用しているところもある。この場合、同じ内容のファイルが複数のロケーションに存在していると、2つ目以降はファイルへのポインターが作成されるようになる。こういったポインターによって、同じ内容のファイルが各ロケーションに個別にバックアップされたかのように見せかけるわけである。
またプロバイダーによっては、データをブロックレベルでチェックし、重複データのバックアップを抑止するというところもある。ファイル単位で内容が重複しているバックアップを抑止するのではなく、バックアップ対象データを構成する各ブロックについて、チェックサムを計算するソフトウェアを使用し、該当ブロックと同じチェックサム値となるデータブロックが既にバックアップされているかどうかを判定するのである。
5:バックアップは自社でも保管する
バックアップの作成と保管は自社でも行い続けることをお勧めする。クラウド上のバックアップは、自社のデータセンター全体が危機にさらされた場合に大きな力を発揮するはずだ。しかし、サーバの復旧が必要となった場合には、インターネット経由でバックアップをダウンロードするよりも、ローカル環境に保管されているバックアップからデータを復元する方が速いはずだ。自社保管用のバックアップを別途作成するのは面倒かもしれないが、壊滅的でない災害の際にはより迅速な復旧作業が可能となるため、それだけの価値があると言えるだろう。
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この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。