IDC Japanは6月13日、日本国内におけるクライアントPC市場出荷実績値について発表した。これによると、2011年第1四半期(1月~3月)の国内クライアントPC出荷台数は、ビジネス市場が約200万台で前年同期比24.5%減、家庭市場は約184万台で前年同期比4.6%減となった。合計約383万台で、前年同期比16.1%減となったという。
2011年第1四半期(1月~3月)の国内クライアントPC出荷台数は、前期までのプラス成長から一転。家庭市場、ビジネス市場、共にマイナス成長になった。特にビジネス市場では、3月に発生した東日本大震災の影響や、ベンダー出荷が2010年10月末で終了したWindows XPモデルの購入を企業が前期に前倒したことが影響し、需要が大きく落ち込んだという。一方、家庭市場では、インテルのチップセットの不具合のため、出荷台数の減少が懸念されたが、PCベンダーの生産調整が功を奏し、大きなマイナスには至らなかったとしている。
なお、ベンダーシェアでは順位が動き、NECが富士通を抜き1位になった。以下、3位に東芝、4位がデル、5位はヒューレット・パッカード(HP)となった。
1位のNECは、ビジネス市場で震災の影響により企業の需要が落ち込み、家庭市場では、震災前に出荷を完了していたものの、昨年同期のスクールニューディール特需の分を穴埋めできず、前年同期比27.7%減となった。
2位の富士通は、震災の影響により企業の需要が落ち込んだだけでなく、デスクトップPCの生産拠点である福島県の工場が被災し、NECと同様に昨年同期のスクールニューディール分を穴埋めできず、前年同期比27.7%減となった。
一方、3位の東芝は、上位5社の中で唯一、前年同期比2.6%増のプラス成長になった。ビジネス市場ではマイナス成長だったものの、オールインタイプのデスクトップPCの出荷が伸びたことが、プラス成長に寄与したとIDCではみている。また、デルは前期の5位から4位に順位を上げた。ただし、Windows XPのラストバイの影響を受け、中堅中小企業の需要を取り込むことができなかったことが影響し、前年同期比11.6%減となった。
IDCでは、同市場の2011年第2四半期の見通しについて、阪神淡路大震災が起こった時の状況の分析などに基づき、家庭市場における東日本大震災の影響は、限定的であり、出荷台数の前年同期成長率は、2.3%減にとどまるとみている。一方、ビジネス市場では、前期に引き続き震災の影響を受け需要が落ち込むため、前年同期成長率は7.1%減になると予測している。
IDC JapanのPC、携帯端末&クライアントソリューション グループマネジャーである片山雅弘氏は「東日本大震災の影響により、2011年第1四半期のビジネス市場は、震災前の予測から約38万台下振れするとみていた。だが今期の結果から分析すると25万台程度であったと推定できる。しかしこの上ブレした結果を楽観視することはできない。企業は2011年度の方針が固まるまで、PCの導入を凍結する可能性がある」とコメントしている。