情報処理推進機構(IPA)が6月20日に公開した資料を見ると、現在導入が進むクラウドサービスが今回の震災時の緊急支援に役立てられていること、震災後の復旧・復興でも有効であることが明らかになっている。
公開されたのは、クラウドサービスが東日本大震災に際しての緊急支援に役立てられた事例を収集・整理した「東日本大震災に際して提供されたクラウドサービスの事例」(PDF)、クラウドサービスを安全かつ有効に活用するための「クラウドサービス安全利用のすすめ」(PDF)、「震災からの復旧・復興における情報システムの再構築にクラウドサービスが活用される可能性について」(PDF)――という3つの資料だ。
事例を見ると、震災の際に多くのクラウドサービスプロバイダーから、安否確認や情報共有、行政情報発信、被災者支援の情報基盤といった用途で多岐にわたる無償のサービスが提供されたことが分かる。IPAが組織するクラウドセキュリティのコミュニティを通じて寄せられた76件の支援やIT機能の提供の事例を収集・整理しリスト化したところ、被災者個人、支援NPO、行政、企業や商店まで、幅広く支援やIT機能の提供が行われたという。
「クラウドサービス安全利用のすすめ」は、IPAが4月25日に発表した「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」(PDF)にクラウドサービスに関する参考情報や解説を加え、また震災の復旧・復興に際して参考になる情報も盛り込んでいる。
「震災からの復旧・復興における情報システムの再構築にクラウドサービスが活用される可能性について」では、従来自社内のサーバで行っていた業務を、クラウドに移行して実現、再開することの可能性について具体的なイメージを示し、情報システムの復旧・復興に際して参考になり得る情報を提示。本格的な復興でも、その投資を軽減できるだけでなく、スピードアップも可能で、クラウドの利用は災害復興の柱になりうるとしている。