わたしは10年以上Linuxを使っており、記事でも扱ってきたが、その間多くのアプリケーションが登場しては消えていくのを見てきた。消えてしまったアプリケーションの多くは、結局のところ、使い続けるには不具合が多すぎたか、ユーザーが必要とする機能を持っていなかった。使い続けられているアプリケーションは、確実で安定しており、更新され続けているのに加え、使いやすい機能を数多く持っている。そして、最近のLinuxにおいては(特にデスクトップで使われるものは)ユーザーの使いやすさが重要だ。
残念ながら、デスクトップが使いやすくなってきている一方で、Linuxアプリケーションやシステムの一部は、未だに設定や使い方が難しいままだ。この記事では、そういったアプリケーションを使った際の体験を紹介し、どうしたらツールを使いやすくできるかに興味のある開発者の手助けとしたい。
1.LDAP
これまでわたしがインストールしたことのある、あらゆるシステムの中で、「LDAP」はおそらくもっとも使いにくいものだ。わたしはインストールには成功したが、それにも相当イライラさせられた。LDAPサーバ自体も相当なハードルだが、クライアントをLDAPサーバに接続するのもかなり大変だ。サーバに関してはなぜ大変かはわかる。そもそもこれは複雑なシステムなのだ。しかし、クライアントはWindowsクライアントをドメインに接続するのと同じように、簡単であるべきだ。
Linux用クライアントのLDAPサーバへの接続は、本来あるべき姿よりも、はるかに難しいとわたしは思う。サーバについては、確かにLDAPサーバの設定を助けていくれるGUIツールはある(思いつくのは「389 Directory」サーバと「phpLDAPadmin」だ)。しかし、これらのツールはもっとずっと使いやすいものになるはずだ。LDAPに必要なのは、「Gadmin」や「system-config-ldap」のようなツールだ。そういうものがあれば、LDAPの設定はずっと簡単になるだろうし、「Active Directory」の代わりとして使うのも容易になるだろう。
2.SELinux
「SELinux」の最大の問題は、ほとんどのユーザーが単にそれを理解できないことだ。SELinuxは、Linuxの安全を守るために驚くほどの効果を上げられる強力なツールだ。SELinuxはあまりにも強力なため、脅威のないアプリケーションの実行まで妨げることがよくある(「Adobe Reader」がよくこの被害に遭う)。しかし、SELinuxの範囲の大きさと複雑さは、新しい(あるいは比較的新しい)ユーザーがマニュアルを読み始めるとさらに増幅される。マニュアルを読んでも、読もうとし始める前よりもわからなくなってしまうのだ。LinuxにSELinuxのようなツールが必要な理由は理解できるが、少なくとも、計算機科学を専攻するつもりがない人にも、利用できるようなソリューションにするよう努力すべきだ。