矢野経済研究所の調べによると、すでに在宅勤務制度を導入している企業のうち24.4%が導入範囲を拡大させる意向を持っていることが明らかになっている。震災以後に実際に対象範囲を拡大した企業が8.1%とあわせると、在宅勤務の拡大意欲は32.5%になる(図1)。
矢野経済研究所が6月24日に発表した「東日本大震災後の在宅勤務制度に関する調査結果2011」でそうした状況が明らかになっている。
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社外でPCを使った業務について「認めていない」や「特にルールを定めていない」企業にたいして、社外でのPC利用に対する意見を聞いてみると、「震災以後、許可するようになった」が1.8%、「ぜひ認めていきたい」が6.1%、「できれば認めていきたい」が20.8%と、合計28.7%が前向きな意見を持っているという(図2)。
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今回の震災では、従業員が計画停電で出勤できなかったために、会計処理などの事業業務の遅延が発生した企業がいると指摘されている。事務・スタッフ部門は一般的にデスクトップPCを活用した内勤であり、セキュリティの観点から重要業務ほど外部からのアクセスが主流となっている。その結果として、震災以後に従業員が出勤できずに業務がこなせないという事態になってしまっている。
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事業継続性という観点からみると、重要業務の従業員ほど社外から自社システムにアクセスする環境が必要になっているというのが、震災後の状況だ。矢野経済研究所は、社外からのアクセス環境整備についての対応意欲も聞いている。「震災以前に対応済み」が5.2%、「震災後に対応した」が2.7%、「コストをかけても重要業務に携わる従業員には、そうした環境を提供すべき」が30.5%となっており、計38.4%の企業が事務部門での外部アクセス環境整備に実施済みか前向きであるとしている(図3)。調査は売上高1億円以上の企業600社を対象に5月にウェブでのアンケートで行われた。