業務プロセス連携プロジェクトに大型案件増加の兆候--成熟製品にはコスト圧力

富永恭子 (ロビンソン)

2011-07-20 19:49

 IDC Japanは7月20日、国内企業を対象にした「コラボレーティブ/コンテンツ管理アプリケーションとミドルウェアの利用実態調査」に関する調査結果を発表した。

 同調査結果から、コラボレーティブソフトウェアやアプリケーションサーバのような成熟分野については維持費用へのコスト圧力が高まっていることが明らかになっている。そのため、コンテンツ管理(CMS)ソフトウェアやエンタープライズサービスバス(ESB)やビジネスプロセス管理(BPM)ソフトウェアのような成長途上分野についても、投資予算を確保することの難しさが原因で、プロジェクト化に至る企業が少ないと分析している。

 コラボレーティブソフトウェアやグループウェア移行の検討状況では、SaaSやASPに移行したいという回答が、現在SaaSやASPを利用している企業も含めて21.1%という結果になっている。コラボレーティブソフトウェアやグループウェアは、従業員の日常業務を支えるものであり、ユーザー企業はライセンスの追加費用も含めて、管理負担を減らし、維持費を抑えることが課題となっている。そのため、現在のシステムを運用負担の軽いSaaSやASPに移行したいというニーズが高まってきていると説明している。

図 現在利用しているコラボレーティブソフトウェアやグループウェアの移行計画の内容

 アプリケーションサーバの利用状況は、基幹系、情報系、ウェブ系のいずれの用途でもWindows IISを使っているという回答が最も多く、情報系とウェブ系での利用度が特に高くなっている。Windows IISを除き、基幹系で多く利用されている製品としては、Interstage Application Server、WebSphere Application Server、Oracle Application Serverの回答が多かったという。

 企業内コンテンツ管理の現状では、CMSの主要機能のうち、44.7%の企業が「ドキュメント管理」を目的としてCMS製品を導入。今後CMSソフトウェア導入を検討している企業に投資予定分野を尋ねた調査では、伝統的な文書管理領域である「ドキュメント管理」や「レコード管理」に加え、「ウェブコンテンツ管理」が50%以上の回答を集める結果となった。これらの結果からウェブサイト構築と運用の効率化という新しいニーズが市場を活性化する兆候として見られたと説明している。

 アプリケーション連携およびビジネスプロセス連携の現状では、プロジェクトを実施済みとする回答は1割に満たない状況。しかし、実施を予定している企業は24.9%あり、その中でも1億円以上の総投資額を予定している企業が48.1%と、案件数の増加とともに案件の大型化の兆候が出てきているとみている。

 同社のソフトウェア&セキュリティグループ シニアマーケットアナリストの冨永裕子氏は「コラボレーティブやコンテンツ管理アプリケーションとミドルウェアの利用状況を見ると、成熟している製品分野については維持費用へのコスト圧力が高まっており、成長途上の製品分野でも投資予算を確保することの難しさが原因で、プロジェクト化に消極的な企業が多い」と説明する。

 その上で「ユーザー企業が維持費用を減らすのは、新規投資にIT予算を振り向けるためであり、短期的な震災対策と中長期的な戦略課題の解決の両方にベンダーは配慮しなくてはならない。そのためには、クラウドサービスの普及を見据えたビジネスモデルの再構築と、ミドルウェアをドライバーとするアプリケーションソリューションの提供能力の獲得が課題になる」と提唱している。

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