WANサービス市場:広域イーサはバースト型で拡大--IP-VPNは廉価型が飽和

富永恭子 (ロビンソン)

2011-07-27 17:20

 IDC Japanは7月27日、国内WANサービス市場の2010年実績と2011~2015年の予測を発表した。

 2010年の国内広域イーサネットサービス市場は、回線数ベースで前年比7.9%増の約30万回線と順調に成長、売上高ベースでは前年比0.7%増の約2918億円と微増にとどまっている。「KDDI Wide Area Virtual Switch」のトラフィックフリー機能など、2009年後半以降に投入された、従来よりも広帯域を低価格で利用できるバースト型サービスが要因の1つと分析している。

 国内IP-VPNサービス市場の市場規模も回線数ベースで前年比5.5%増の約84万回線と堅調に推移したものの、売上高ベースでは前年比0.9%減約1667億円とIP-VPNサービス市場全体では初めての減少となった。背景として、廉価なVPNサービス市場の飽和を挙げている。

 IP-VPNセグメント内では、高価なギャランティ型IP-VPNは、廉価なエントリー型IP-VPNやインターネットVPNへのマイグレーションによって、すでに2009年に減少に転じているという。2009年は、ギャランティ型IP-VPNの減少をエントリー型IP-VPNやインターネットVPNの旺盛な成長が補い、IP-VPN市場全体としてはプラス成長となった。しかし、2010年は廉価なVPNの成長が鈍化し、ギャランティ型IP-VPNの市場縮小を補えなくなったことで、市場全体が減少に転じたと説明している。

 今後の市場の成長については、広域イーサネットは2010~2015年の年平均成長率が2.1%、2015年の市場規模は3238億円、IP-VPNは同1.4%減、1556億円と予測している。

 IDC Japanの小野陽子氏(コミュニケーションズ シニアマーケットアナリスト)は「企業ネットワーク市場は今後ますます飽和し、ユーザーがネットワークを乗り換える動きも減少する。その結果、価格競争の激化や一部のプレーヤーによる低価格サービス投入などで市場全体の低価格化がさらに進行する可能性がある。通信事業者はこのような状況に備え、ネットワークのプロビジョニングや運用保守プロセスの自動化などでサービス提供にかかるコストを抑え収益を確保することが重要になる」とコメントしている。

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