Ubuntuのマーケティング責任者:クラウドやビッグデータにチャンスがある - (page 3)

末岡洋子

2011-08-03 15:47

--企業向けの取り組みの現状は

 UbuntuはLAMPの一部として利用されてきました。固定リリースサイクル、信頼性などが評価され、多数のウェブサイトや企業で利用されましたが汎用でした。

 2年ほど前に差別化の必要性を感じ、当時まだ新しかったクラウドコンセプトを取り入れることにしました。クラウドを意味のある形でサポートするため、単に既存技術をクラウドで動かすのではなく、企業が利用できるクラウドソリューションとして提供することにしました。

 ITのパラダイムはクラウドにシフトしつつあります。クラウドでは高価なライセンスが要求されるWindowsへの投資を継続するよりも、無料かつウイルスの心配がないUbuntuデスクトップクライアントに軍配が上がるでしょう。

 OracleやSAPをインストールするとき、認定ソリューションのRed HatやWindowsに対抗するのは難しいでしょう。しかし、ビックデータ向けの技術であるHadoop用のサーバなど、新技術を利用したい時にはUbuntuが選択肢に入る可能性があります。クラウド、ビックデータなど新技術にはレガシーがなく、こうした領域は我々にとってチャンスとなります。

 考え方としては、既存のWindowsやLinuxサーバを置き換えるのではなく、企業が次に何をしたいのか、そのために必要な技術は何かを考え、それを統合していくことにフォーカスしています。

 日本では先日、アシストと総代理店契約を締結しました。これにより、日本企業でもクラウドサービスの実装などでUbuntuの利用が進むと期待しています。

--OpenStackを採用した背景は何か

 これまではクラウドプラットフォーム「Eucalyptus」を採用してきましたが、5月の「Ubuntu Developer Summit(UDS)」で、デフォルトを「OpenStack」に切り替えることを発表しました。

 次期LTS(Ubuntu 12.04)ではOpenStackを採用します。OpenStackは米航空宇宙局(NASA)、米Cisco、米Dellなどの支援を受けるオープンソースのクラウドソフトウェアで、今後開発がさらに活発化することが期待されています。Canonicalは立ち上げ時から支持しており、OpenStackプロジェクトに元Canonicalの人間も関与しています。

 OpenStackを採用する理由としては、オープンソースでありユーザーにメリットがあるからです。技術的には、Eucalyptusはプライベートクラウド向けですが、OpenStackはパブリッククラウドに適しています。どちらの技術が優れているかではなく、Ubuntuユーザーのニーズが高いのはOpenStackだと見ています。

 我々が、どちらのクラウド技術を採用するのか決断したことで、コミュニティは方向性を理解しやすくなったと考えています。幸い、クラウドは新しい技術なので、大型投資を伴う大規模な実装をしているところは少なく、Eucalyptusは(現在のLTSである)Ubuntu 10.04で2015年までサポートされます。いますぐにマイグレーションする必要はありません。

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