--タブレットやスマートフォンなどのモバイル市場、車載システムなどのIVI市場をどう見ているか
タブレットは現在、ソフトウェアとハードウェアが密に結びついており、デスクトップのようにウェブサイトを訪問してUbuntuをダウンロードすることができません。興味深い分野ですが、タブレット版を用意する計画は現時点でありません。しかし、COMPUTEX TAIPEIではタブレットでUbuntuを動かすプロトタイプ機が展示されていましたが、これは歓迎すべき動きです。
モバイルでは、Ubuntuをスマートフォン向けに進化させる計画はありませんが、携帯電話が高機能になってコンピュータ化が進めば、Ubuntuが果たす役割はあると考えています。たとえば、米MotorolaがAndroidとUbuntuを利用する「Motorola Atrix」を開発しています。これは、電話として使うときはAndroidで、シャーシにプラグインするとUbuntuとなります。
Androidは良いスマートフォンOSですが、大画面フルキーボードを搭載するコンピュータ向けではありませんし、ここを目指しているのではないと思います。ここにギャップがあり、Ubuntuを使えないかという動きがあるようです。
IVIでは、先にGENIVI Initiative(自動車向けのインフォテイメントを標準化する業界団体)に参加し、参加企業がUbuntuベースの車載インフォテイメントを開発できるようになりました。ここでは、Ubuntuのサブセット「Ubuntu Core」を利用し、さまざまなエクスペリエンスを構築できます。
--企業としてのCanonicalの業績は
売上はあげているが、収益性という意味では黒字化がまだです。達成時期の見通しもわかりません。言えることは、多数の事業部が売上を増やしており事業拡大を続けていること。これまでの成果に満足しています。
売上の例としては、個人ユーザー向けのクラウドサービス「Ubuntu One」、サービスとサポートを提供する「Ubuntu Advantage」などがあります。先にドイツの企業が1万デスクトップ分のOEMを手がけるなど、大型案件も増えています。
WindowsユーザーによるUbuntuのダウンロードは1日3万5000件。ダウンロード後、インストールして使っているのかは追跡できませんが、収益に変えていくチャンスは増えていると見ています。