日産自動車は、英国工場内で2012年から操業する電気自動車(EV)向けリチウムイオンバッテリ生産工場で統合基幹業務システム(ERP)パッケージ「SAP ERP」の採用を決定した。SAPジャパンが9月15日に発表した。
日産自動車とアライアンスパートナーであるRenaultは、2010年から発売している「日産リーフ」をはじめ、当面3ブランド8車種のEVの生産を予定している。リチウムイオンバッテリの開発、生産、販売を担当する「オートモーティブエナジーサプライ(AESC)」を2007年にNECなどと合弁で設立し、日産自動車の神奈川県座間事業所でリチウムイオンバッテリを量産している。
今回、英Sunderland工場に採用が決まったSAP ERPのシステムは、座間事業所で2010年に構築された生産計画系システムをグローバル展開するものだという。新工場は、座間事業所内の工場に次ぐ世界で2番目のリチウムイオンバッテリ生産専門工場となり、年間6万基のバッテリ生産が可能となる予定だとしている。
座間事業所でSAP ERPを用いた生産計画系のシステムは、2009年10月から導入検討されている。生産計画の作成から実績管理までを統括してビジネスプロセスを支える「計画系システム」、バッテリ生産を制御する「生産・工程管理システム(MES)」、製造履歴を追跡することで品質管理を支援する「トレーサビリティシステム」の3つで構成される統合システムのグランドデザインを決定したとしている。
SAP ERPは、その中で上位の計画系システムに採用。SAP ERPは、グローバルでの実績とプロセス型生産システムとしても定評があったが、特に外部サービスとの接続が容易であり、変化が想定されるところでも影響の想定が簡単にできるほか、バージョン管理が容易であるなど、将来のグローバルの工場への展開に対応したシステム基盤であることが高く評価されたという。新システムは2010年7月から座間事業所で稼動しており、わずか9カ月という短期で導入されている。
日産自動車は今後、アメリカ、ポルトガル、フランスへのバッテリ生産工場の展開を進め、グローバル5拠点で年間50万基のリチウムイオンバッテリ生産を目指す。日産自動車とRenaultは、アライアンスとしてのEV戦略を加速させていくという。