第一生命保険は4月1日に相互会社から株式会社に組織変更すると同時に東京証券取引所第1部に上場している。財務会計基盤として統合基幹業務システム(ERP)パッケージの「SAP ERP」を活用。情報システム子会社の第一生命情報システム(DLS)が開発と運用を担当している。SAPジャパンが5月17日に発表した。
株式会社化と上場の実現には、業績開示の早期化や月次業績管理体制の整備などで財務会計基盤面の対応が必須となっていた。同社は、2008年初から本格的な準備に着手したが、上場申請などの日程を勘案すると1年強という短期間で準備を完了させる必要があったとしている。約1200万件の個人保険契約をはじめとする膨大な業務情報を管理しており、業績開示の早期化などの対応は、決してやさしい課題ではなかったという。
今回の対応で同社は、財務会計面でSAP ERPとビジネスインテリジェンス(BI)製品である「SAP NetWeaver Business Warehouse」を活用して構築した財務会計システム基盤を用いることで、SAP製品の機能を活かし、株式会社化と上場への準備を実施したという。同基盤で、財務諸表の表示項目など大量の帳票変更、業績開示の早期化、適時開示のための月次業績管理体制整備、財務数値把握や分析業務の支援を実現できたとしている。
第一生命は2006年2月に、SAP ERPとSAP NetWeaver Business Warehouseを導入し、会計システム基盤を再構築している。会計制度変更への柔軟な対応、財務諸表作成業務の効率化と属人性の排除、予算管理業務の効率化など、財務会計基盤の強化を図り、四半期報告制度や日本版SOX法などの制度変更に対応できたという。