BCPは災害に対する備えだけではない
CMOのWasson氏は「BCPとは、天変地異やパンデミックなど、予測不可能なことが起きても事業を継続できる体制を作ることだ。ただ、BCPは災害からわが身を守るということだけではない。人々は、何か悪いことを一度経験すると、次はもう大丈夫だなどと思いがちだ。しかし、現在はかつての変化を上回るような大きな変化が起きており、これまで以上に対策を考えなければならない」という。
また、「多くの新しいデバイス、アプリケーション、プラットフォームが次々に登場している。ビジネスの手法も大きく変わっている。また、若い世代は仕事への見解がこれまでとは異なっており、古いやり方を採りたくないと考えている。これらのような変化の波は大変に速い。考え方が変わり、そのインパクトも大きい。iPadはたった1年半前には存在していなかったのだが、今では世界を変えている」とした。
Wasson氏は「VUCA」という新しいキーワードを紹介。これは、Volatility(不安定さ)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を表している。
Citrix CMOのWes Wasson氏
「不確実で予測不可能な時代には、従来と同様のやり方では問題を解決できない。今日、ITを利用する人々、ITに携わる人々にとって、安全な賭けはない。これまでであれば、WindowsとIntelのアーキテクチャだけ見ていればよかったのだが、今ではMacも勢いがある。もちろん、Windows 8もすばらしいが、Androidもある。GoogleのChromeもある。さまざまなプラットフォームが並立しているが、どれが勝つのか予測はできない。また、おそらくこれらのなかで一人勝ちするものはいないのではないか」(Wasson氏)
このような状況の下、「我々はBCPを新しく定義したい」とWasson氏。それは「時として起きる天災などに備えるというだけではなく、これまた予測不可能なほど激しく、速い変化に対応することができる能力ということだ。かつて、これほど速い変化はありえなかった。これまでのようなIT投資では不十分になる。当社の使命は、企業がどのような変化にも対応できるように支援することだ」と述べる。
そのためには「5つのステップを踏めば、そのような企業になることができる」という。
- 生産性を上げられるよう、従業員に力を与える。たとえば、交通機関が止まったしても従業員同士はどこからでもミーティング、コラボレーションができる環境
- すべてのOSを一括管理する。企業では、複数のOSを多様な組み合わせで利用しているため、IT環境が複雑化している
- 従業員があらゆるデバイスを通じ、データやIT資産にアクセスできるようにする
- 外部にあるどのようなクラウドにセキュアに接続できる環境を構築する
- 新たにクラウドを構築する際、すでに成功している事例と同様のものを実現する
Wasson氏は「Citrixの重要な役割は、当社の仮想化技術を使って、世界中のどこからでも安全なビジネスができるようにすること。予測不可能な世の中であっても、成功を収めることができるようにしていきたい」と訴えた。