アップルストア銀座のオープンにあわせて来日する以前にも、MacWorld Tokyoの基調講演で来日したり、NeXTを経営していた時代にも、提携関係にあったキヤノンのイベントに出席したりというように、何度も来日した経験はあるが、あまり日本贔屓という声は聞いたことがない。
自宅に日本庭園を持つ米Oracle CEOのLarry Ellison氏や、日本に長期滞在しながら全社経営を行う米Salesforce.com CEOのMarc Benioff氏、東日本大震災後に同社VIPの中ではいち早く来日した米Microsoft CEOのSteve Ballmer氏のような、日本との密接な関係を感じさせるような逸話は、Jobs氏についてはほとんど聞かれない。
そして、日本法人の経営幹部とも一線を画していた様子は長年のもの。それもJobs流の手法のひとつだ。
実は、記者会見などでも、Steve Jobs氏が日本の経営トップと肩を並べて登場するというシーンは一度もなかった。
Jobs氏を追い出したJohn Sculley氏がCEOを務めていた時には、来日したSculley氏が日本法人社長とともに会見に臨むというシーンはあったが、Jobs氏にはそういったシーンは皆無だったのだ。
そして、最終的には日本法人社長のコメントは公の場には出さない仕組みとし、すべてをJobs氏の発言に一本化するという仕組みを定着させたのも、他社にはないものだ。
果たして、Jobs氏は日本という国をどう見ていたのか。一度、聞いてみたかったと思う。

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