ITは「構築と運用」から「集約と編成」の時代へ--シトリックスCEO - (page 2)

柴田克己

2011-10-27 19:23

「3PC」の実現でやってくる新たなコンピューティングの世界

 Templeton氏は、昨今の世界状況の激しい変動の様子を表す言葉として使われ始めているという「VUCA」という略語を紹介。これは「Volatility(流動的)」「Uncertainty(不確定)」「Complexity(複雑)」「Ambiguity(あいまい)」の頭文字をとったもので、こうした言葉で表されるほどに激しく変化をする環境は「極めて厳しいものである」とする。

 「我々は顧客にイノベーションを提供しようと考えている。これらの製品や技術を提供するのは、顧客とエンドユーザーが変動の激しい、厳しい世界に対応するための高いレベルのサービスを提供することを目的としている」(Templeton氏)

 ITの世界で実際に起こっている激しい変化の例として、Templeton氏は「コンシューマライゼーション」を改めて取り上げた。エンドユーザーが利用する端末が、これまでの一般的なPCに加え、さまざまなデバイスへと多様化していく。端末が変化することで、そこへさまざまなデータやアプリケーションを配信するデータセンターの構造も変化し、合わせて、ユーザーが作業環境として利用するデスクトップの概念も変化しなければならないという。

 コンシューマライゼーションに関連し、エンドユーザーがそれぞれに使い慣れたPCやデバイスを仕事の場面に持ち込むという利用シーンを表した「BYO〜(Bring Your Own〜)」という言葉も目にする機会が多くなった。従来であれば「BYO-C(Computer)」や「BYO-D(Device)」、そして各ユーザーが3種類のデバイスを利用しているといった前提での「BYO-3」といった形で使われた言葉だが、Templeton氏は「もはやデバイスだけの問題ではなく、アプリケーション、ネットワーク、ID情報、そして利用したいクラウドサービスのすべてが“BYO”へと変化しつつある」とし、こうした一連の動きによって、これまでの「PC時代」が終わりを迎え、「新たなクラウドコンピューティングの時代が到来する」と述べた。

 このPC時代の次にくる「新たなコンピューティングの時代」を象徴するものとして、シトリックスでは近年、「3PC」というコンセプトを掲げている。ここでの「PC」はパーソナルコンピュータではなく、「Personal Cloud」「Private Cloud」「Public Cloud」の3つを表す。Personal Cloudは、個人の生産性を高めるために、どのような端末や場所であっても、クラウド上で管理された自分用のデータ、アプリケーションに同じようにアクセスでき、成果物を共有できる環境を指す。

 シトリックスでは、これらの3つの「PC」が、それぞれどのようなものであっても、それらをエンドユーザーが必要に応じて組み合わせて、最適な形で利用できる環境の実現を目指しているとする。

 「3PCの時代は、従来の“システム構築と運用”から、“アグリゲートとオーケストレーション”の時代になる。大規模なデータセンターを作って運用するスタイルから、ユーザーがさまざまなクラウドサービスを集約し、セキュリティ運用やID情報などをその上で一元的に編成するスタイルに変わっていく。これまで“例外”とされていたモバイルやクラウドといった環境が“ルール”となることで、ITリソースの調達や管理の方法が変化していく。これによって、生産性の向上や社員の満足度の向上、オープンなビジネスオペレーションなどが実現されていく」(Templeton氏)

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