キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は1月18日、文書を閲覧、追記、印刷できるiPadアプリ「Smart Browse Print」を3月上旬から発売することを発表した。初期費用1万5000円、月額費用は3000円(5台使用、税別)。
同社が提供するSaaS型文書共有「C-Cabinet」や中小オフィス向けIT支援サービス「HOME」のオプションとして提供される。利用するには、Appleの「iOS Developer Enterprise Program(iDEP)」への加入が必要となっている。
サーバにある文書を見られるほかに、文書をローカルにダウンロードして見ることもできる。閲覧では、ピンチイン/ピンチアウトによる拡大縮小、縦横の回転、全画面での表示も可能だ。Microsoft Office文書は閲覧だけが可能だが、PDFであれば追記することもできる。
追記では、「アノテーション」や「静止画付せん」などの機能を搭載している。アノテーションでは、文書上にフリーハンドでメモを記入できる。線の太さや色を変えることができ、消しゴムで消すことも可能だ。文書に付せんをつけて、付せんの内容をテキストで記入できる。付せんは貼り付ける位置をドラッグで移動できるようにもなっている。文書中によく使うページをブックマークする「しおり」機能も活用できる。
静止画付せんは、iPadに搭載されているカメラを使って、撮影した画像を文書中に貼り付けるという機能。撮影された画像をそのまま文書に貼り付けるほかに、画像にフリーハンドでメモを記入したものを文書に貼り付けることもできる。
印刷では、「PDFダイレクトプリント拡張キット」を活用すれば、iPadからWi-Fiを経由して複合機(MFP)に直接印刷することができる。キヤノン製ソフト「Easy-PhotoPrint」やマイクロテック製ソフト「ePrint」などの連携ソフトを使った印刷も可能となっている。
キャノンMJでは、Smart Browse Printの主な用途として(1)電子マニュアル、(2)プレゼンテーション、(3)ペーパーレス会議――の3つを想定している。
(1)の電子マニュアルでは、航空や鉄道などでの業務マニュアルや作業報告書、工場やプラントでの設備点検マニュアルなどを想定している。作業報告書では、静止画付せんの機能を活用すれば、文字情報だけでは伝わりにくい現物の画像を貼り付けることで、より分かりやすい情報を伝達できる可能性がある。建設や不動産での設計図面を電子化することも想定している。マニュアル類はこれまで改訂する度に印刷も含めた配布コストが高くなってしまうが、電子化されたマニュアルは配布コストを下げることができる。
(2)のプレゼンテーションは、銀行の窓口、自動車や旅行代理店での店頭販売、各種訪問販売などの業務を効率化することを想定している。カタログやパンフレット、見積などを顧客の要望に応じて必要な情報を見せながら説明したり、必要な部分だけを印刷したりといった対応が可能になる。
(3)のペーパーレス会議では、経営会議や事業企画会議など、情報が外部に漏れてはいけない、機密性の高い会議で、紙の資料を配布する代わりに、iPadでクラウド上のデータを閲覧できるというメリットがある。会議中に記録した事柄をフリーハンドで追記して保存することも可能だ。