インテルは3月7日、サーバーおよびワークステーション向けプロセッサーの新製品「インテル Xeonプロセッサー E5ファミリー」を発表した。
Sandy Bridgeをベースとしたプロセッサーで、同じアーテキチクャを採用したハイエンドコンシューマ向けの「Core i7」に比べて、コアを8コアにまで拡張したほか、従来のXeonプロセッサー5600番台と比較して、最大80%の性能向上を実現。インテル・インテグレーテッドI/OとPCI Express 3.0の対応により、プロセッサーへのデータ転送能力を最大3倍に拡大させた。急拡大するデータセンターのトラフィック需要にあわせて拡張できるように設計したという。
発表したのは、サーバ向けのXeonプロセッサー E5-2600製品ファミリーと、ワークステーション向けとなるXeonプロセッサー E5-1600製品ファミリー。E5-2600製品ファミリーの最上位となるE5-2690 2.90GHzの1000個受注時の単価は、16万2960円となっている。
Xeonプロセッサー E5-2600製品ファミリーは、プロセッサーあたり最大8コアおよび最大768GBのシステムメモリーをサポート。SPECpower_ssj2008で50%以上の性能を向上しており、単位電力あたりのデータセンター性能を最大限に発揮できるという。
また、財務分析、メディアコンテンツ作成、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)のように演算処理を必要とするアプリケーションの性能を向上させるインテル・アドバンスド・ベクトル・エクステンション(インテルAVX)をサポート。インテル ターボ・ブースト・テクノロジー2.0、インテル ハイパー・スレッディング・テクノロジー、インテル・バーチャライゼーション・テクノロジーなどにより、デュアルソケットのx86プラットフォーム向けのベンチマークテストでは、15におよぶ世界新記録を打ち立てたという。
インテル技術本部の土岐英秋本部長は「2007年以来の大幅な技術革新。インテル ターボ・ブースト・テクノロジーを2.0に進化させたほか、インテル・アドバンスド・ベクトル・エクステンションにより、1クロックあたりのFLOPSを最大2倍に引き上げた。また、インテル・インテグレーテッドI/Oの採用によって、I/Oレイテンシを最大30%削減。データ転送の高速化を実現することで、データセンターの拡張を支援できる。I/Oの強化は今回の新製品で最大のポイント。一方で、インテルが重視するTCO(総所有コスト)の削減も進化させ、パフォーマンスと省電力を両立。データセンター全体の監視と制御を行うためのインテル・ノードマネージャーおよびインテル・データセンター・マネージャーを提供しており、多くのベンダーがこれを採用したソフトウェアを展開することになる」とした。
会見ではNTTデータ ビジネスソリューション事業本部 データセンタビジネスユニット ITマネジメントソリューション統括部の上笠健統括部長が、インテル ノートマネージャーを活用したデータセンターの電力管理と省電力化への取り組みについて説明した。
「インテルの協力を得て4台のホワイトボックスサーバを導入し、夏季の電力ピーク時の10%削減、非常時のデータセンターの連続運転時間の1.5倍延長を目標にした検証を行った。特定サーバやグループ化されたサーバ電力の上限を強制的にコントロールすることができ、電力管理を効率的に行えた。高負荷サーバでは約18%の電力量削減、低負荷サーバでは約16%の電力量削減が行えるほか、約1.8倍となる64時間の稼働が可能になるという結論が出た」と語った。
インテルの宗像義恵取締役副社長は、製品発表を行った会見場の隣でタイの国賓を招いた会合が開催されていることに触れながら、「こちらも国賓級の製品を発表する」と笑いを誘った後、「2015年にはインターネットに接続される機器は150億台、利用する人は30億人に達するとみている」とする。
続けて「インテルXeonプロセッサー E5ファミリーは、柔軟性などに優れたデータセンターを構築する上で新たな基準となるもの。IT部門が抱えている様々な課題を解決するものであり、サーバやワークステーションだけでなく、次世代ストレージおよび通信システムにも利用されることになる」と位置づけた。