デルは3月7日、第12世代となるPowerEdgeシリーズの新たな製品として、同日米Intelが発表した「インテル Xeonプロセッサー E5ファミリー」を搭載するサーバ6機種を発表した。
ブレードサーバーの「PowerEdge M620」、ラックマウント型の「PowerEdge R720」「同R720xd」「同R620」、タワー型の「PowerEdge T620」、マイクロサーバの「PowerEdge C6220」の4モデル6機種。PowerEdge C6220は3月末に発売。その他の製品は今日から出荷を開始する。
DIMMスロットを最大24本(768GB)搭載。デルとしては初めてサーバ内にGPUを内蔵することで演算処理を高速化。従来製品に比べて最大4倍のHDDを搭載できることから、クラウド事業で利用している分散ファイルシステムにも適応。Hadoopなどに代表される大規模分散処理もスムーズに実行できることから、ビッグデータの活用にも適しているという。
標準SSDをRAIDキャッシュ化する新機能として「CasheCadeデータアクセラレータ」を標準で搭載しており、I/Oの高速化によって、データベースやVDIでの性能を発揮するという。
さらに、PCIeスロットにSSDを直結する新ドライブ「Dell Express Flash」を提供。フロントアクセス型のホットプラグ対応としたことで、可用性を高めたほか、標準SSDの約3倍のパフォーマンスを発揮。データベースを活用するインターネット企業のほか、仮想化、クラウドコンピューティング、データセンターにおける性能向上に加え、HPC分野での活用も可能としている。
また、運用管理においては、「iDRAC7(Intergrated Dell Remote Access Controller 7)with Lifecycle Controller」によって、同社製品としては初めてエージェントレスでの監視を実現するなど、自動化および簡素化したシステム管理を実現。サーバの導入、更新、監視、メンテナンスなどのライフサイクル全般に関わるIT管理者の作業時間を削減できるとしている。
デルでは今回、すべてのサーバ製品にQRコードを貼付しており、スマートフォンを通じてサーバのセットアップ情報やメンテナンスの方法を、ビデオ情報として入手できるクイック・リソース・ロケーターの機能も新たに提供している。
さらに、80PLUSプラチナ認定94%高効率の共通電源モジュールを搭載可能であり、より適切な電源管理を可能としたほか、インテルのインテリジェント・パワー・ノード・マネージャーに対応。これに連動した管理コンソールとして「Dell OpenManager PowerCenter」を無償で提供し、データセンターなどに設置したサーバの消費電力の一元管理を実現している。
そのほか、外気冷却活用ソリューション「FreshAir」に対応。年間稼働時間の1%相当(約90時間)で、最高摂氏45度での安定稼働を保証している。
「稼働バーチャルマシン数をラックあたり300%増とするスペース性能の向上、パーツ交換時の自動アップデート機能によりメンテナンス作業時間を85.5%削減するといった管理作業の自動化および生産性向上、44個の内蔵センサによる電力最適化制御および33%の消費電力化をはかっている。2012年半ばには、80PLUSのTitaniumの認証を受けた96%の高効率電源モジュールを採用した製品も投入できる」(デル 公共・法人マーケティング本部サーバブランドマネージャーの布谷恒和氏)とした。
負荷の高いワークロード向けに設計されたPowerEdge M620の最小構成価格は18万4800円から、HPCでの活用も想定したラックマウント型のPowerEdge R720は29万8200円から、内蔵ストレージを搭載し、大量のデータ処理に伴う業務に最適なR720xdは39万5850円から、スペースに制限があるデータセンターに最適とするR620は27万0900円から、スモールビジネスやリモートオフィスに適応したタワー型のPowerEdge T620は21万9450円から、共有インフラストラクチャとしての活用を想定したマイクロサーバのPowerEdge C6220の価格は未定となっている。
デル執行役員の町田栄作氏は、「インテルが発表した新たなCPUを搭載した製品を日本法人でもインテルと同日に発表し、同日に出荷を行うことができた。新製品は、企業が求めるスピードとパワー、効率性を、エンド・トゥ・エンドで提供していくものになる。ボトルネックとなっているサーバ、ストレージ、ネットワークの課題を一気通貫で解決できるものとなり、管理についても最適化した」と強調した。
布谷氏は、「生産拠点では一昨日の夜から生産のための準備が整っている。従来はデルの日本法人社員を通じて本社にフィードバックしていたが、2年前にデザインエンジリアリング部門の社員が直接、日本の企業5社を訪問して細かいヒアリングを行い、それを製品化に生かしている。同じ活動を全世界で行っており、4大陸17カ国、7700社を超える顧客からのフィードバックに基づいて設計した。第12世代のサーバでは、お客様が設計し、デルがエンジニアリングした製品といえる」などとした。
また、デル コンピューティング&ネットワーキング統括本部 SE部 部長の馬場健太郎氏は、「求める性能要件にあわせて、ひとつの筐体でI/Oを選択できるのが特徴。仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)、ビッグデータ、HPCやリモートオフィス、スモールビジネスでの活用のほか、電力消費の最適化、運用保守効率の大幅改善を実現した。さらにISVに対するアプライアンスおよび組み込み型のOEMとして、40を超える産業分野、2000社を超えるお客様を持つという実績があり、ここに向けても展開していく」としたほか、「2月に設立したOSCA(オープン・スタンダード・クラウド・アソシエーション)を通じて標準構成を定義し、お客様に安心して使っていただける組み合わせを提案していきたい」と語った。
なお、東京大学 生産技術研究所 革新的シミュレーション研究センターの「次世代ものづくり分野研究支援計算機システム」にPowerEdge R620が導入されたことも明らかにしている。
会見の冒頭、米DellのCEO(最高経営責任者)Michael Dell氏のビデオメッセージが放映された。「革新的なエンタープライズソリューションを発表する重要な日であり、デル史上最も有力なデータセンターソリューション、第12世代となるPowerEdgeサーバを紹介する。エンタープライズのお客様にとって、価値、生産性、効率化を高めるITソリシューションに全力で取り組む」とした。