JA長野県グループの長野県協同電算は「全国共同運用センター」をプライベートクラウドで構築、運用を開始している。共同でシステムを構築した富士通が4月4日に発表した。
JAグループの総合指導機関である全国農業協同組合中央会(JA全中)は、グループのシステム運用コスト低減を目的に、JAの財務会計、経営管理、固定資産、人事給与の業務システムとなる「Compass-JA」をクラウドで提供するために全国共同運用センターの構築を決定している。JA全中からの委託で、長野県協同電算が構築と運用を担っている。
全国共同運用センターは24時間365日ダウンタイムがない、安定稼働を実現するために、信頼性が高く、可用性の高いハードウェアを必要としていた。各都道府県のJAグループからは任意に委託を依頼されることから、できるだけ初期投資を抑えたサーバ台数で運営を開始し、委託する都道府県の増加に伴ってリソースを拡張したいと考えている。その環境上で、統合基幹業務システム(ERP)パッケージ「SAP ERP」をベースにしているCompass-JAが安定稼働するかどうか、ハードウェアとハイパーバイザ、アプリケーションの検証が必要になっている。
全国共同運用センターの主要サーバには、富士通のIAサーバ「PRIMEQUEST」を採用している。各都道府県に対してPRIMEQUESTのシステムボード1枚で運用できるため、運用管理の容易さと省スペースが実現できたという。ハイパーバイザには「Windows Server 2008 R2 Hyper-V」を採用し、サーバ集約、柔軟なシステム配置変更など、業務の追加や増加にあわせてリソース追加できる環境にし、フェールオーバークラスタリング機能を活用することで、信頼性も向上したとしている。
富士通は2006年から日本マイクロソフトとSAPジャパンと3社で共同検証プロジェクト「PRIME3 PROJECT III」を展開している。同プロジェクトはSAP製アプリケーションの最適化が目的。同プロジェクトで仮想環境の各種検証が終了していることから、仮想環境でのCompass-JAの稼働を保証している。今回のシステムでは、PRIMEQUESTのエントリモデルを採用し、年間レンタル契約することで、初期導入コストを抑えて、必要に応じて追加調達することによるコスト最適化も実現しているという。
全国共同運用センターは、JA東京グループが活用を決定、4月から運用が始まっている。長野県協同電算は以前から、JA長野県グループのCompass-JAなどのシステムを県内統一することで、長野県全体のシステム運用を効率化、ノウハウを蓄積してきている。