日本オラクルが開催中の「Oracle OpenWorld Tokyo 2012」で、日産自動車 執行役員CIO グローバル情報システム本部 本部長の行徳セルソ氏が「日産自動車のIS/IT戦略〜ビジネスに貢献できるIS/ITへ」と題して講演した。
日産は中期経営計画「NISSAN POWER 88」を策定、実行しているところだ。ブランド価値を向上させ、販売力を養成し、2016年度末までに世界市場でのシェアを8%まで高めるとともに、営業利益率を8%とすることを目標としている。
この計画を達成するため、6つの機軸を打ち立てた。
IS部門の使命は「質の高いサービスでビジネス価値を向上させること」
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日産自動車 執行役員CIO グローバル情報システム本部 本部長の行徳セルソ氏
一つ目がブランドパワー。これは「ブランドの価値が上がり、その認識が広がれば、価格を決めるうえで優位性が高くなる。売れ行きも上昇する。また、中古車の下取り価格が上がるなど、消費者側にも利益をもたらす」(行徳氏)という。
第二にセールスパワーだ。消費者の需要と要求に応えた商品を販売することと、販売網を強化してディーラーの数を増やす。第三はクオリティの向上。第四がゼロエミッションで、電気自動車以外にディーゼルなども用いる。
五番目は事業の拡大だ。行徳氏は「全世界でのシェア8%というのは、4.6%程度だった1999年当時の2倍近くになる。この目標に向けて今、大きな投資を実行している。インフィニティの主要な市場は米国だったが、いまや世界最大級の市場である中国での拡販が重要になる。小型商用車の拡大も重要だ。さらに、ロシアでの存在感を大きくしなければならない。また、BRICSでの市場拡大も重点だ」と話す。
六番目は、年間で5%のトータルコストを削減することだ。全体のバリューチェーンを見直し、価格競争力を向上させて製品を提供する。
「日産のグローバルIS(情報システム)のビジョンは明確だ」と行徳氏は語る。
「価値の刷新と洗練されたサービスの原動力を加速させることがビジョンだ。使命は、質の高いサービスによりビジネスの価値を向上させること。IS部門は、ビジネスの戦略に準拠して行動することが重要になる。単なる業務のサポートではなく、ビジネスを変革するようなソリューションを提供することが主眼であり、目標の具現者となっていく」(行徳氏)
さらに、グローバルな思考が基盤となる。「目標や原則、発想、価値などを、全世界的な水準で共有する。日産には全世界で1300人のIS部門担当者がいる。その全員が単一のチームとして活動しなければならない」(行徳氏)
行徳氏は「IS/ITは、自分たちのために何事かをなすのではなく、業務のために、会社にとって、アドバンテージとなるソリューションを提供しなければならない」と強調する。ソリューションはできるだけシンプルであり、アプリケーションはどこの拠点でも容易に使えるようにするべきであり、開発したものを資産として再利用することも特に重要だとする。