IT改革で2300億円を削減
日産のIT改革は「2005年から2010年の間にターニングポイントがあった」と行徳氏。
2005〜2010年までの「BEST(Business Alignment Enterprise Architecture Selective Sourcing Technology Sinplification)Program」は、以下のような施策を目指すものだった。
- ISトータルコストの見える化による業務部署との関係強化
- グローバル規模でのシステムの標準化と最適化
- 選択的で戦略的なソーシング——つまりITベンダーとの関係の再考
- 採用したテクノロジの標準化とシンプル化
「2005年当時はカスタマイズの比重が大きかったのだが、標準化を徹底した」(行徳氏)
この改革のきっかけになったのは、米Hackett Groupのベンチマークサービスによる分析の結果だった。2004年頃の日産は標準化が十分ではなく、高コスト体質にあり、アプリケ−ションは複雑性が高く、かなり危険な状態にあると指摘された。
BESTProgramの成果は目覚しいものだった。4131ものプロジェクトを実行し、これらのプロジェクトとBESTProgramによるコスト削減額を合計すると2300億円にも及んだ。さらに、404のアプリケ−ションを削減し、内部で活用するITのうち標準化率は80%に上った。2010年度はユーザー1人あたりのITコストを37%縮減している。
BESTProgramの後継として、「NISSAN POWER 88」を支える戦略は「VITESSE」と呼ばれる。仏語で速度という意味だが、Value、Innovation、Technology、Simplification、Service、Excellenceの頭文字でもある。ここでは「ビジネスサイドとISサイドのブレイクスルーにより、プロセスの改善や生産性の向上」(同)を目指す。
行徳氏は「システムづくりは、人間によって決まる部分も大きい。優れた人材を育成し、モチベーションを維持していくようにすることも重要だ」としている。
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