「世界的にも成功したBYOD事例」と胸を張るSAPのCIO、その裏側を語る

末岡洋子 2012年05月28日 12時24分

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 独SAPはインメモリ、モビリティ、クラウドを利用した新しいエンタープライズITを提案している。これらの新技術をいち早く導入しているのが、SAPのIT部門(Global IT)だ。

 自らの経験を製品開発や改善に役立てているというから、同部門はSAPの攻めの戦略の大きな支援役となっているようだ。ITチームを率いるSAPの最高情報責任者(CIO)であるOliver Bussmann氏に話を聞いた。

SAPは世界第2位のiOS導入事例

 Bussmann氏はCIO界ではちょっとした存在である。「Wall Street Journal」が選ぶハイテク業界のトップ25エグゼクティブに選ばれ、「European CIO of the Year 2012」にもノミネートされた。Fortune 250のソーシャルCIOではFacebookやGoogleのCIOを抑えて、最もソーシャルなCIOに選ばれている。Twitterのフォロワーは4700以上、CIOになってから4000以上ツイートしている。

写真1 1500人のIT部隊を率いるOliver Bussmann氏。エンタープライズにもコンシューマーの「エキサイティング」が必要と語る

 Bussmann氏は2009年秋、外部からSAPのCIOとして招き入れられた。「ITはコストセンターだった」とBussmann氏は振り返る。当時SAPは業績が低迷し、初めて人員削減を行ったことが大きく報じられた。

 コストセンターから会社に好影響を及ぼすイノベーションの震源地へ――これにあたり、Bussmann氏はイノベーションを含む戦略を敷く。そして2010年に2つの小規模のプロジェクトを開始した。

 1つは登場間もない「iPad」とモバイルアプリ向けのインフラプラットフォームの構築、もう1つは初の同社のインメモリ技術「HANA」の実装だ。SAPは2010年初めに共同CEO体制に以降後、クラウドとモバイルを前面に出し、すべてを支える土台としてのインメモリ技術の開発を進めた。つまり、IT部門は自社の最新技術を利用して、アジャイルな組織に生まれ変わろうとしていた。

 新しい共同CEO体制の下でSAPの業績も上向き始めるが、ビジネス側の戦略とIT部門との連携も奏功したのかもしれない。最新の2012年第1四半期(1~3月)決算では、最も重要な指標となるソフトウェアおよびソフトウェア関連サービスの売り上げが9四半期連続で2桁成長したことを報告している。

 Bussmann氏は5月に米オーランドで開催された「SAPPHIRE NOW Orlando 2012」で、モバイルを中心にSAP社内での取り組みを説明してくれた。

 モバイルOSという点では、全世界で6万人という社員のうち1万9000人が利用しているBlackBerryに加え、iOS、そしてAndroidの導入を進めているところだ。iOSについてはiPadが1万7000台、iPhoneは1万3000台が使われており、世界第2位のiOS導入事例だとAppleも認めているという。そして現在、積極的に導入を進めているのがAndroidだ。

 Androidでは「SAP Sybase Afaria」での協業関係にある韓国Samsung Electronicsの「GALAXY」ラインのタブレット(TabとNote)とスマートフォン(GALAXY S II)を推進している。Afariaではすでに300種類以上のSamsung/Android向けのセキュリティ管理や遠隔管理インターフェースがあり、これらを利用して「機能単位で端末の安全性を管理している」(Bussmann氏)。1月末時点でGALAXY端末は1100台、先頃発売が始まったGALAXY S IIIも導入する予定で、今後GALAXY端末を増やしていくという。

 平行して、年内発売が見込まれている「Windows 8」についても作業を進めている。すでに、富士通のWindows 8ベースのタブレット試作機を取り寄せてラボでアプリの検証を始めているという。Windows 8が一般提供となるころには、かなりのアプリが対応しているだろうと述べる。

 BYOD(Bring Your Own Devices)についても積極的だ。日本、豪州、シンガポール、中国、北米などで社員の個人端末利用が可能となっており、5月に本拠地ドイツにも拡大した。もちろん、AfariaのBYOD機能を利用しており、1100台程度の個人端末が利用されているという。Afariaにはモバイル端末とアプリの利用に関する情報を収集、分析する機能もあり、これをサービス改善に役立てているという。Bussmann氏は「世界的にも成功したBYOD事例だ」と胸を張る。

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