米Hewlett-Packard(HP)が6月初旬にネバダ州ラスベガスで開催したプライベートカンファレンス「HP Discover 2012」では、主に同社のエンタープライズ市場に向けた製品と技術に関する最新の成果が披露された。
その中のひとつに、新CEOのMeg Whitman氏がキーノートで「HPの戦略のベースである」と表現したインフラストラクチャ分野、特にバックアップストレージに関するものがある。
HPはカンファレンス初日の6月4日、デデュープ(重複排除)技術を用いて毎時100テラバイトのバックアップを実現する「HP StoreOnce Backup」ソリューションを発表した。これは、バックアップストレージである「HP StoreOnce B6200」と「StoreOnce Caltalyst software」との組み合わせによって実現されるものだ。
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HPエンタープライズグループのエグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるDave Donatelli氏は、モバイルコンピューティングやソーシャルメディア、クラウドコンピューティングなどの隆盛によって、情報システムを取り巻く環境が大きく変化している点を指摘。この状況の中で、ITインフラ自体も変化していく必要があるとした。
「今日の状況の変化の中で、レガシーなインフラは変化していかなければならない。HPの誇りは、そうした新たな状況に対応し続けることができる点だ」(Donatelli氏)
特にストレージ分野においては、状況の変化によって「複雑化」や「使い勝手の低下」「管理の煩雑化」といった課題が生まれつつあるという。Donatelli氏は、こうしたストレージ市場の現状を「過渡期」と表現。HPでは、ストレージやサーバ、電源、管理ソフト、ネットワークを統合することで、運用管理の効率化や自動化を実現するアーキテクチャ「HP Converged Infrastructure」を推進しているが、今回発表されたソリューションは、この戦略に沿って「エンタープライズストレージを変革するものである」とした。
「デデュープ 2.0」を実現するStoreOnce
バックアップ/リストアの高速化を実現する新ソリューションの核となるのは、HPが新たに提供するデデュープエンジンである。デデュープは、企業がいわゆる「情報爆発」にどう対処するかという課題に向けた有効なソリューションとして、5年ほど前から注目を集めている。バックアップ済みのデータと新たにバックアップすべきデータとを比較し、重複する部分を除いて保存するというコンセプトで、保存データ量の削減やバックアップスピードの向上といったメリットが知られている。
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HPでストレージ部門のシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるDavid Scott氏は、「デデュープにはメリットがある一方で、互換性のない複数の技術が存在することでサイロ化が進み、管理性や使い勝手の面で課題も抱えている」とする。同氏によれば、HP StoreOnceとStoreOnce Catalyst softwareの組み合わせによって実現される新たなソリューションは、「世界でも最も高いパフォーマンスを誇り、統合性、管理性、スケーラビリティを大幅に向上させた『デデュープ 2.0』と呼ぶべきもの」だという。
パフォーマンスの面で比較対象として挙げられたのは、つい数週間前にEMCによって発表された「EMC Data Domain DD990 with boost」だ。Scott氏はDD990とStoreOnce B6200とのパフォーマンスをグラフで比較して見せた。