日本オラクルは7月11日、2013年度戦略説明会を開催した。同社代表執行役社長最高経営責任者である遠藤隆雄氏は、「これまでの“Simplify IT”に加えて、“UNLEASH INNOVATION”をテーマに掲げる。イノベーションを解き放つには、Simplify ITが必要である」などとする一方、「日本オラクルの事業は健全に、着実に成長している。今後も売上高2000億円を目指して、中期経営計画を実行していく」とした。
遠藤氏は、「オープンプラットフォームを前提とした製品により、垂直統合を実現するのがオラクルの提案。これにより、Simplify ITを提供し、すべての領域でNo.1のポジションを目指していく。オラクルの成長領域を考えれば、企業のIT投資の多くを占めるサービスコストを製品コストに変えることに尽きる。ここに大きな成長が見込める」と今後の展開に期待を込めている。
遠藤隆雄氏
その一方で遠藤氏は「IBMは、アーキテチクャやリファレンスは提供するが、それをもとに顧客にいちから作ってくれという提案。それに対して、オラクルは実証したベストプラクティスを持っている。すぐに明日から使える提案が可能になり、“IBM+α”の体制を実現している」とIBMよりも優れた製品を提供できることを強調している。
また、「UNLEASH INNOVATIONを実現する、ひとつの回答が、Customer Experience(CX)。ユーザー企業はお客様に“ワォ!”と感動の言葉を言わせることができるかが重要であり、それは期待を超えるサービスの提供によって実現する。オラクルはCXでも先進的なものを提供する会社である」ことを強調している。
さらに「お客様のやりたいことを実現するコンサルティングでは意味がない。お客様が気がつかないソリューションをシテスムに含めて提案していかなくてはならない。CXは新たな領域での提案であり、コンサルティングパートナーも気がつかないようなソリューションも含まれている」と、コンサルティングパートナーとの連携強化などについても言及した。
大塚俊彦氏
続いて、ソフトウェアライセンス事業担当副社長執行役員の大塚俊彦氏がインダストリ戦略を説明。「オラクルでは約20業種に渡る業種別ソリューションを品揃えしている。アプリケーション領域を含めてほぼすべての製品領域に対応できるように業種別にアーキテクチャをしっかりと整備して、ニーズにきめ細かく対応していく」とした。大塚氏はまた「既存資産と有機的に結合するプラットフォームを提供。ユーザー企業の成長戦略に骨太に貢献できる体制を作っていく」と述べた。
同社では2011年に、営業体制を再編。5つの産業別営業体制とすることで、従来からの製品別の事業体制に横串を刺す仕組みとしており、「ソリューションの品揃え、業種別アーキテクチャの拡大、営業体制の拡充といった観点で事業をドライブする」と語った。
三澤智光氏
ソフトウェア製品戦略については、ソフトウェアライセンス事業製品事業統括兼テクノロジー製品事業統括本部長の三澤智光専務執行役員が説明した。
「企業においては、ITコストの64%が既存資産の維持にかけられている。また、Oracle、IBM、Microsoftの3社合計の研究開発投資額と、米国大手金融機関の年間IT投資額がほぼ同じという試算もある。シンプルなITを活用してもらうことで、こうした問題を解決できる。オラクルが貢献できるのはSimplify ITの実現と、企業のイノベーションのお手伝い。それは、データを価値に変えていくスピードを、いかに上げることができるかに尽きる。これによってお客様のイノベーションを手伝うことができる」(三澤氏)