IDC Japanは7月19日、サーバ10台以上を導入する国内ユーザー企業の動向調査の結果を発表した。垂直統合型製品に対するユーザー企業のニーズとベンダーが提供している実際の製品との間にギャップがあると分析している。
調査では「垂直統合型製品に求める最適な統合の範囲」としてサーバとストレージ、ネットワーク機器といったハードウェアからアプリケーションまでを統合したもの(統合レイヤ1~5)であるとの回答が最多となっている。ベンダーが提供する垂直統合型製品は、統合レイヤ1~5(ハードウェアからアプリケーションまで)に分類されるものが多いという。
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だが実際にユーザー企業が採用している、もしくは採用予定がある垂直統合型製品は、サーバとストレージ、ネットワーク機器といったハードウェア(統合レイヤ1)と、ハードウェアからデータベースまでを統合したもの(統合レイヤ1~4)となっている。この事態からIDC Japanでは、垂直統合型製品に対するユーザーのニーズとベンダーが提供する製品との間でギャップがあることを示唆しているととらえている。
垂直統合型製品のシステム構成要素のうち、他社製品への乗り換えが特に困難なものとしてデータベースソフト(DB)、サーバ、オペレーティングシステム(OS)、アプリケーションであるとユーザー企業は認識していることも明らかになっている。
垂直統合型製品ではDBやサーバ、OS、アプリケーションを核に据えることが重要と説明。サーバやOSについては一部の例外製品を除けば標準化が進んでおり、製品単体での差異化を追求すると価格競争力が逆に低下するという状況にあるとも言及している。
こうしたことから中核に据えるべきシステム構成要素はDBとアプリケーションになる。国内市場が成熟していることを考慮すると、他社製品への乗り換えが困難であるとユーザー企業が認識しているシステム構成要素が垂直統合型製品に含まれる場合、同構成要素の既存ユーザーが多数存在しなければ、垂直統合型製品の採用機会が限定的になることを意味しているという。
IDC Japanの福冨里志氏(サーバーリサーチマネージャー)は「IT部門が現在取り組んでいる最優先課題は“運用管理の効率化”。これは3年後も同じであるとの回答が最も多かった」と説明している。
「現在の優先課題と3年後の優先課題を比較すると、2番目と3番目に多く指摘された課題の内容が異なる。現状では“災害対策/事業継続”と“ITスタッフのスキルアップ”だが、3年後は“社内ユーザーへのサービス提供迅速化”と“IT資産の有効利用”が浮上してくる。垂直統合型製品の構成要素として“統合運用管理ツール”の重要性が増すだろう。中期的には、サービスの自動化を支援し、連携して負荷に応じたシステムリソースの動的配分などの機能の充実がユーザーニーズに応えていく上で不可欠になる」(福冨氏)