日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は6月11日、ブレードサーバのシャーシやSANストレージといったハードと運用管理ソフト、組み立てなどのサービスをパッケージにした統合インフラ製品「HP BladeSystem Matrix」を発表した。
今回発表されたBladeSystem Matrixは、同社のブレードサーバを収容するシャーシの「HP BladeSystem c7000エンクロージャ」と、LANやSANを効率よく結ぶインターコネクトの「バーチャルコネクト」、共有SANストレージとして「HP StorageWorks EVA4400」、システム全体を管理するためのブレードサーバ「HP ProLiant BL460c G6」といったハードのほかに、運用管理ソフトの「HP Insight」シリーズを搭載する。工場での組み立てサービス「HP Factory Express」といったものもまとめて提供する。ブレードサーバは、「HP ProLiant BL」シリーズや「HP Integrity BL」シリーズを利用可能となっている。
最小構成は、シャーシのc7000とバーチャルコネクト、ソフトのInsightに管理サーバであり、これにFactory Expressを加えて、価格は1265万8800円からとなっている。同社はこれらに共有SANストレージを加えたものを推奨オプションとしている(価格は603万4350円)。出荷開始は8月下旬を予定している。
日本HPは、今回のBladeSystem Matrixについて、同社のITインフラビジョンである「アダプティブ・インフラストラクチャを具現化するもの」(同社執行役員ESSトランスフォーメーション担当本部長兼マーケティング本部長の松本芳武氏)と表現している。一つの筐体にブレードサーバやSANストレージ、バーチャルコネクトを搭載することで、障害が発生しても復旧させる際に「バーチャルコネクトで接続されているためにMACアドレスやWWNといったLANやSANの設定変更が不要」(同社ISSビジネス本部サーバプロダクト・マーケティング部の木村剛氏)という。また、オールインワンで構成され、後からブレードサーバを追加することができることで「サーバスペックの検討をしなくてもいいし、手間をかけることもない」(木村氏)としている。
従来、企業向けのITインフラは、人事管理や生産管理といった業務アプリケーションごとに、いわば“垂直統合”でハードやソフトを用意することが一般的だった。しかし、最近では仮想化技術や運用管理の自動化で、導入や運用管理に人手をかけることなく、エンドユーザーに柔軟にハードやソフトを含めたITリソースを提供する体制が整いつつある。日本HPでは、こうした体制をさらに向上させて、標準化された構成で共有されたITリソースを用意することで、アダプティブ・インフラストラクチャを実現できると説明する。
BladeSystem Matrixを活用すれば、システムごとにアプリケーションの要件に基づいてサイジングから構成検討、機器の注文、設置、プロビジョニング、そして環境構築という一連の流れを「簡素化・自動化・迅速化できる」(木村氏)という。日本HPに試算によれば、BladeSystem Matrixでは、ネットワーク周りの配線作業の工数が97%、デプロイ作業の工数で38%、サーバの管理工数で88%、それぞれ削減できるとしている。同様の試算で3年間の投資収益率(ROI)が251%、総所有コスト(TCO)は3年間で71%削減できると説明している。
同社では、BladeSystem Matrixのプロビジョニングの迅速化向上を図るために、同社の自動化ソフト「HP Insight Orchestration」で利用可能な“テンプレート”を提供するとしている。テンプレートを適用することで、標準構成にあわせて内部設定からOSのインストールまでを自動化できると説明する。