Oracle OpenWorld Tokyo:ハード社長、基調講演で「ITの複雑性を解消する」

大河原克行

2012-04-04 17:57

 日本オラクルは4月4日〜6日までの3日間、東京・六本木の六本木ヒルズなどで「Oracle OpenWorld Tokyo 2012」を開催している。

 10回目の開催となる今回は「ENGINEERED FOR INNOVATION 技術の融合が、世界を変える。」をテーマに、オラクルの最新テクノロジと、同社が推進する「Engineered Systems」を実現する製品群の最新情報を、パートナー、ユーザーなどに提供する場となった。

 初日となる4日午前9時からスタートした基調講演では、米Oracle社長のMark Hurd(マーク・ハード)氏、旧Sun Microsystemsのハードウェア事業を含むシステムズ担当エグゼクティブバイスプレジデントのJohn Fowler(ジョン・ファウラー)氏、チーフ・コーポレート・アーキテクトのEdward Screven(エドワード・スクリーベン)氏、そして日本オラクル取締役 代表執行役社長 兼 最高経営責任者(CEO)の遠藤隆雄氏らが次々と登壇。オラクルの製品戦略の中核をなすEngineered Systemsの現在と今後の方向性を示した。

  • 日本オラクルの遠藤隆雄社長
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 基調講演の冒頭、日本オラクルの遠藤社長は「今回のOracle OpenWorld Tokyo 2012において、新しいITの流れを感じてほしい。また、Engineered Systemsは、新しい製品によって新しい市場、新しいニーズ、新しい社会を生むものになる。新しい仕事が生まれ、新しい会社、新しい産業が生まれる。Engineered Systemsは、日本経済をプラスにするための大きなキーワードになる。今回のイベントでも強い想いでこのテーマを打ち出した。これだけの当社の経営トップ、開発トップが参加するビッグイベントは、サンフランシスコ以外では東京だけ。5万人が参加したサンフランシスコのイベントと同じ環境を東京でも用意した」と語った。

ITの複雑性を解消する

  • 米Oracleのマーク・ハード社長
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 続いて登場したハード氏は、壇上にはあがらず聴講者がいる会場に降りたまま、語りかけるようにして講演を行った。

 ハード氏は、まずIT市場の大きな変化について言及。年間データ量が2005年から8倍増加していること、さらに今後はデータ量が20倍に増加し、2020年には35ゼタバイトになること、個人が所有するモバイルデバイスに大量のデータが搭載されていること、ソーシャルメディアが広がっていることを示す一方、ITの複雑化が問題となり、IT投資の50%がサービス分野に向けられ、サービスコストが上昇していることを指摘。オラクル、IBMといった主要3社のR&D投資額と、主要金融機関3行のIT投資予算が同等であることなどに触れ、「クラウドのような、複雑性に関わる必要がない、シンプルなサービスの関心が高まっている。複雑性を解決するという点に対して、オラクルは製品とサービスを提供しており、これが業界を抜本的に変える」などとした。

 また、オラクルが取り組んでいる戦略について触れ、「ベスト・オブ・ブリード」「オープン」「垂直統合」「パフォーマンス」「Engineered Systems」に取り組んでいることを示した。

 ベスト・オブ・ブリードの実現に向けては、年間50億ドル相当の投資を行い、さらに今後2年間で150億ドルを投資する計画や、この1年で9社を買収したことなどを示す。

 一方で、アナリティクス(分析)の重要性については、2つの事例を示して説明した。ひとつは、米国では携帯電話の解約率が28%に達していることを示しながら、「ユーザーが解約の手続きを行うのに必要となる時間は約3分。その3分の間に、コールセンターの担当者が解約者の気持ちをいかに変えさせることができるかが課題だ。しかし、コールセンターは40%の人が入れ替わっており、3〜4週間のトレーニングを積んだ人ばかり。ここに大量のデータから、アナリティクスを行い、問題を解決するといった活用方法がある」とする。

 もうひとつが飛行場での事例だ。「もし1枚しかない飛行機のチケットに同じタイミングで2人の顧客が訪れたらどうするか。1枚のチケットをどちらに渡すかによって、その後の航空会社と顧客のつきあい方が大きく変わってしまう。的確な分析をすることが、顧客とのつながりを継続することにつながる」とする。

 「困難な課題の解決、適切な意思決定の支援、効率的な経営の実現といった点で、次世代アナリティクスシステムが重要になってくる」などとした。

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