街全体がハッピーになるCRMを作ろう--パイプドビッツ 佐谷社長

冨田秀継 (編集部) 2012年07月26日 22時43分

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 パイプドビッツ代表取締役社長 CEOの佐谷宣昭氏の名刺に「情報資産の銀行」というキャッチフレーズを見つけた。

 各界のエグゼクティブに価値創造のヒントを聞く連載「ZDNet Japan トップインタビュー」。今回は佐谷宣昭氏に話を聞いた。

 当初は、主力製品「SPIRAL」を基盤にPaaSやSaaSを提供するパイプドビッツの今を知ろうと、話を始めるつもりでいた。しかし、話題は仕事論から組織論、ビッグデータからオープンデータ、そして同社を特徴付けるメディア事業へと、次々に話が進む。

 それでも話の中心には、いつもデータという名の情報資産があった。佐谷氏のオピニオンを是非最後までご覧頂きたい。

--パイプドビッツを創業された経緯を教えてください

 私は大学に9年も通いました。学部を卒業して博士課程に入り、博士号をもらったのですが、多くの人はその後で大学教授を目指します。でも、私は民間で活躍したかった。その点では、キャリアの選び方が珍しいといえますね。これは、今でも大きな差別化要因になっていると思います。

 大学では都市計画を研究していました。他の方々が過ごしてきた形じゃないところでやってきたので、それがオリジナリティにつながっていると思うのです。

--そうした経験は実務でどのように役立っていますか?

パイプドビッツ代表取締役社長 CEOの佐谷宣昭氏
パイプドビッツ代表取締役社長 CEOの佐谷宣昭氏

 学生時代の経験が実務に役立っていることは大いにあります。なかでも最も大きいのは「文章力」ですね。学生のときは論文を書きます。研究で学んだ手法をもって、論理的に系統立てて説明していく——事業では「伝える」という力はとても大きいものです。

 また、考え方についても役立っていることがあります。私は都市計画を研究していましたが、日本で「新しい街を作ろう」という都市計画を立てることは、まずありません。街を少しずつ変えていくことしかできないのです。たとえば、建築ではオーナーを一人満足させれば進められます。しかし、街はたくさんの人たちが関わっていますよね。短くても20年先、その頃どんな街にしましょうかということから始まるのです。私が携わった計画では、大勢の人の意見や知恵を巻き込みながら、さらに隣の街も考えながら、さまざまなコンテキスト(文脈)の中で住民の皆さんと合意を形成できるようにお手伝いました。それは会社の経営でも同じことが言えます。さまざまな人が関わっていますから。

 こうしたプロセスを学生の時に多少経験しているのは、今に生きています。私は創業社長ですが、人に「やれ」というのではなく、人を巻き込んで「やろう」と言えるんですね。

--経営者としては、強烈なリーダーシップを発揮する「独裁者」というよりも、合意の形成を円滑に進める「調停者」のような存在と言えるでしょうか

 いえ、社員の私に対する印象は「独裁者」だと思います(笑)

 というのも、リーダーが強ければ、幹部は意見しやすくなるのです。リーダーが弱ければ、皆がエゴを言います。エゴの押し付け合いになって仕事が進まなかったり、誰か声の大きい人の話にばかりリソースが割かれ、部分最適だけが進むこともあるでしょう。でも、リーダーが強ければ、リーダーに直接言えばいい環境になるのです。

--調停者でいられるほど、創業社長は甘いもんじゃないってことですね(笑)

 当社は4人のメンバーで起業しました。ここ数年で、やっとプレイングマネージャーから脱することができたほどです。

 実際、私は3年前まで開発の現場を監督していました。ただ、CTO(最高技術責任者)を入れて、開発を任せたのです。そうすると、今まで開発に割いていた時間で、違うことができるようになります。

--プレイングマネージャーが陥りがちな罠にはまりませんでしたか? よくある「自分がやればもっと早く、うまくいくのに……」という

 一番きつかったのは、歯がゆさとの戦いですね。会社が小さいうちは何でもやらないといけませんが、自分なりの納得感は得られます。でも、そうしている間は規模が小さいままですね。

 会社が大きくなると、人に任せなければいけません。しかし、同時に歯がゆさが襲ってきます。特に、間に人が入ってしまい、現場が見えづらくなればなるほど、歯がゆさを感じます。これをどう抑えるか。

 私は、自分を忙しくしました。技術のことをCTOに任せたら、これまで手を付けられなかった他の領域に着手したのです。

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